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「くりっく365」は、店頭FXと何が違うのでしょうか。国内のFXには、業者と1対1で取引する店頭FXと、取引所に上場された取引所FXがあります。取引所FXの代表が、東京金融取引所の「くりっく365」です。
証拠金・値段・スワップ・税金について、取引所と業界団体の公表資料で、やさしくくらべます。
結論を先に書きます。違うのは、証拠金の置き場所・値段の出し方・スワップの3つです。レバレッジの上限(個人25倍)と税金(申告分離課税)は同じです。
証拠金(取引のために預けるお金)は、全額が取引所に預けられます。値段は、複数の金融機関の値段から合成されます。スワップ(持ち越しで受け取る・支払うお金)は、受け取りと支払いが同じ額です。
規模は店頭FXが圧倒的です。2026年4〜6月の取引金額は、店頭FXが約2,423兆円、くりっく365が約4.9兆円でした。くりっく365は店頭の約0.2%です。
くりっく365は普通のFXと何が違う?

くりっく365は愛称です。商品としての名前は、東京金融取引所(TFX)の「取引所為替証拠金取引」です。
TFXの説明では、インターバンク市場の取引をもとにした商品です。インターバンク市場は、銀行などのプロが相対(1対1)で取引する市場です。これを、個人投資家などのリテール(プロではない一般の投資家)向けに上場したものです。
上場は、取引所の商品として並べることです。
まず、取引のしかたが違います。店頭FXは、業者と1対1の取引です。くりっく365は、取扱会社に口座を開き、その会社を通じて取引所で取引します。
法律の言葉では、店頭FXは店頭デリバティブ取引です。くりっく365は、取引所で行う市場デリバティブ取引です。言葉の定義はデリバティブ取引の定義の記事で読みました。
取扱会社は、取引所の審査を受けた「取引参加者」などの会社です。くりっく365を扱えるのは、決まった会社だけです。法令などの基準に加えて、取引所の規則による資格要件を満たす必要があります。
公式サイトが挙げる例を、そのまま並べます。
| 取引参加者の資格要件(一例) | 金融商品取引業者の要件(一例) | |
|---|---|---|
| 資本金 | 3億円以上 | 5,000万円 |
| 純資産 | 20億円以上 | -(公式サイトの表のまま) |
| 自己資本規制比率 | 200%以上 | 120% |
純資産は、会社の資産から負債を引いた額です。自己資本規制比率は、会社のお金の余裕を示す割合です。120%は、法律で決まっている最低線です(自己資本規制比率の記事)。
つまり、取引参加者の要件は、法律の最低線より高い水準です。
取引参加者になった後も、取引所の自主規制部門がモニタリングをする、とされています。モニタリングは、決まりを守っているかを見続けることです。独立した自主規制委員会の決定にもとづくものです。
法令や取引所の規則に反した取引参加者には、処分などをする権限もあるとされています。処分などは、自主規制委員会の決議にもとづきます。
店頭FXとくらべた違いを、先にまとめておきます。
- 違う3つ:証拠金の置き場所・値段の出し方・スワップの受け取りと支払い
- 同じ2つ:レバレッジの上限(個人25倍)・税金(申告分離課税)
やること:口座を開く前に、その口座がくりっく365(取引所FX)か、店頭FXかを確かめる。
預けた証拠金はどこに置かれる?

いちばん大きな違いは、証拠金(取引のために預けるお金)の置き場所です。
店頭FXでは、証拠金は取引した業者が預かります。業者は、それを信託銀行に信託して区分管理(会社のお金と分けて管理すること)します。くわしくは信託保全の記事にまとめています。
くりっく365では、取引参加者が、顧客から預かった証拠金の全額を東京金融取引所に預けます。法令で義務づけられている、と公式サイトは説明しています。預けられた証拠金は、取引所が保管します。
公式サイトの説明では、取引参加者が破綻しても、原則として保全される(守られる)仕組みです。
法律でも決まっています。取引所は、市場デリバティブ取引の取引証拠金を預からなければなりません。預かった取引証拠金を管理することも義務です。
取引所が清算(取引の決済の手続き)を別の清算機関に任せる場合は、その清算機関が預かります。
たとえば、証拠金として10万円を預けたとします(仮の例)。店頭FXなら、業者が信託銀行に信託して分けて管理します。くりっく365なら、取引参加者がその全額を取引所に預けます。
「業者の外の信託」で守るのが店頭FX、「取引所そのもの」に置くのがくりっく365です。
なお、投資者保護基金の補償は、店頭FXもくりっく365も対象外です(投資者保護基金の記事)。投資者保護基金は、証券会社などが破綻したときに、お客さんのお金を補う基金です。
全額を預けることを定める内閣府令や取引所規則の条文は、この記事では確認していません。取引参加者が破綻したときに証拠金が返される手続も、確認していません。
やること:口座を開く前に、預けた証拠金がどこに置かれるかを確かめておく。
値段は誰が決めている?

店頭FXでは、取引の相手である業者が値段(価格)を出します。
くりっく365では、外国為替市場の複数の主要な金融機関から、値段の提供を受けます。この金融機関をマーケットメイカー(売り買いの値段を出す役)と呼びます。
集めた値段から、その時点で投資家に最も有利な価格を、システムで自動的に合成します。合成は、組み合わせて1つの値段にすることです。その価格のまま、取引参加者を通じて提示する仕組みです(公式サイト)。
公式サイトに並ぶマーケットメイカーは6社です(2026年9月24日閲覧・五十音順)。コメルツ銀行、ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券、野村證券、バークレイズ銀行、三菱UFJ銀行です。
ただし、すべての社がすべての通貨ペアに価格を出しているわけではありません。価格を出す社の数は通貨ペアによって違う、と注記されています。
同じページは、マーケットメイカーの価格をそのまま出す仕組みだと説明しています。だから、投資家に不利なスリッページばかりが起きるような、恣意的なことは起こり得ない、という説明です。
スリッページは、注文した値段と、実際に取引が成立した値段のずれです。恣意的は「勝手な都合で」という意味です。
一方で、相場が急に動いたときの注意も書かれています。スプレッドが広がったり、価格が提示されず取引できなかったりすることがある、という点です。スプレッドは、買う値段と売る値段の差です。
やること:急な値動きのときは、スプレッドの広がりや、取引できない場面がありうると知っておく。
スワップの受け取りと支払いは同じ?

スワップポイントは、取引を翌日以降に持ち越したときに、受け取ったり支払ったりするお金です。しくみはスワップの記事で書きました。
公式サイトは、店頭FXについてこう書いています。同じ通貨ペアでも、スワップポイントの受取額より支払額を大きく設定している場合がある、というものです。
公式サイトの説明はこうです。くりっく365は、取引所も取引参加者も、受取額と支払額の差から利益を得ない仕組みです。受取額と支払額を同じ額にしていて、これを一本値(受け取りも支払いも1つの値)といいます。
たとえば、受け取る側のスワップが100円なら、支払う側のスワップも100円です(仮の例)。
ただし、すべての店頭FXと比べて、常に受取額が多い(支払額が少ない)わけではありません。公式サイトも、そう注記しています。
やること:スワップを比べるときは、受け取りの額だけでなく、支払いの額も確かめる。
レバレッジと税金は同じ?

レバレッジ(預けたお金の何倍まで取引できるか)の上限は、個人の取引で25倍です。店頭FXと同じです(レバレッジ上限の記事)。
くりっく365の個人の取引の証拠金は、東京金融取引所が「証拠金基準額」として計算しています。もとにするのは、次の2つです。
- 法令で決まっている必要証拠金率4%(レバレッジ25倍)
- 商品ごとの過去5取引日の平均価格
基準額は毎週月曜日に計算して公表し、翌週の月曜日から金曜日に適用する運用です。4%を単純に当てはめると、取引の金額が100万円分なら4万円です(仮の例)。
税金も同じ枠組みです。くりっく365の公式サイトは、次のように説明しています。
- 利益は申告分離課税(ほかの所得と分けて、決まった税率で計算するしくみ)
- 税率は一律20%(復興特別所得税を含めて20.315%)
- くりっく株365や商品先物・証券先物、店頭取引との損益通算(利益と損失を差し引きすること)ができる
- 翌年以降3年間の損失繰越(損失を持ち越して、後の年の利益から差し引くこと)ができる
利益が30万円なら、税金は60,945円です(ほかに損益がない仮の例・単純な計算)。
業者にマイナンバー(個人番号)を伝えるのも同じです。業者から税務署へ支払調書が出るのも同じです(マイナンバーと支払調書の記事)。支払調書は、取引の結果を税務署に知らせる書類です。
損失を繰り越すための条件は、国内FXの税金の記事で読みました。国内FXの利益の区分(先物取引に係る雑所得等)の決まりも、同じ記事にあります。
やること:損失を繰り越したいときは、条件を国内FXの税金の記事で確かめておく。
取引の規模はどれくらい違う?

金融先物取引業協会は、FX業者などの業界団体です。2026年4〜6月の四半期概況(8月31日公表)は、店頭FXとくりっく365を同じ表に並べています。読みやすいように、兆円に丸めました。
| 2026年4〜6月 | 店頭FX | くりっく365 |
|---|---|---|
| 取引金額 | 約2,423兆円 | 約4.9兆円 |
| 期末建玉 | 約11.1兆円 | 約1.8兆円 |
| 預託金 | 約2.1兆円 | 約0.6兆円 |
| 預託証拠金倍率 | 5.39倍 | 3.07倍 |
| 取引実績口座数 | 712,096 | 12,957 |
期末建玉は、期間の終わりに決済されずに残っている取引の金額です。預託金は、預けられている証拠金の額です。
取引金額でみると、くりっく365は店頭の約0.2%です。たとえると、店頭FXの取引が1,000円なら、くりっく365は約2円です。
預託証拠金倍率は、期末建玉を預託金で割った数と一致します。店頭なら、111,265億円÷20,647億円≒5.39です。
業界全体でならすと、建玉は預託金の3〜5倍台です。上限の25倍よりずっと低い水準ですが、ひとりひとりの倍率ではありません。
くりっく365の公式サイトは、口座数を120万口座、証拠金預託額を5,300億円超(2024年12月末現在)としています。こちらは取引のない口座も含む数とみられ、上の「取引実績口座数」とは数え方が違います。
なお、取引所取引の数値は、会員からの報告を集計したものです。取引所が公表する出来高とは一致しない、と協会は注記しています。
やること:口座数を読むときは、取引のない口座も入る数え方かを確かめる。
まとめ

- くりっく365は、東京金融取引所の取引所為替証拠金取引(取引所FX)=市場デリバティブ取引。店頭FXは、業者と1対1の店頭デリバティブ取引
- 証拠金は全額が取引所に預けられ、取引所が保管する(公式サイト)。店頭FXは、業者が信託銀行に信託して区分管理する
- 値段は、マーケットメイカー6社の提示から、その時点で最も有利な価格を合成。急に動いたときは、スプレッドが広がったり価格が出なかったりすることがある
- スワップは受け取りと支払いが同じ額(一本値)。ただし、すべての店頭FXより常に受取額が多いわけではない
- 取引参加者の要件は、自己資本規制比率200%以上など法律の最低線より高い
- レバレッジ上限25倍と申告分離課税は店頭FXと同じ。投資者保護基金はどちらも対象外
- 取引金額は店頭の約0.2%(2026年4〜6月)。預託証拠金倍率は店頭5.39倍、くりっく365は3.07倍
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国内の登録業者を併用する、という選び方
このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。
- MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)

- 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。
当サイトはA8.netのアフィリエイトプログラムに参加しており、上記リンク経由の口座開設・取引で当サイトに報酬が発生します。本記事は特定の業者の利用を勧誘するものではありません。取引条件・税制は変更されることがあります。
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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。
出典・注記
- 株式会社東京金融取引所「取引所為替証拠金取引 くりっく365」(商品の説明と為替証拠金基準額の算出方法・2026年9月24日取得)
- くりっく365公式ホームページ「特徴とメリット」(証拠金の全額預託、取引参加者の資格要件、価格提供の仕組み、スワップポイント、税制)、「くりっく365とは?」(口座数・証拠金預託額)、「くりっく365取扱会社一覧」(マーケットメイカー)(いずれも2026年9月24日取得)
- 金融商品取引法 第119条(e-Gov法令APIで取得・2026年9月24日)
- 一般社団法人金融先物取引業協会「金融先物取引の出来高状況 2026年度第1四半期概況」(2026年8月31日公表)。協会は、取引所取引の数値は会員からの報告を集計したもので、取引所が公表する出来高とは一致しないと注記しています
- 本文と条文の対応:店頭デリバティブ取引・市場デリバティブ取引の定義=金融商品取引法2条/取引証拠金の預託=同法119条(預かった取引証拠金の管理は同条4項)/自己資本規制比率120%の最低線=同法46条の6/くりっく365の支払調書=所得税法224条の5第1項のうち市場デリバティブ取引の号(4号・5号)
- 本文の表の「約○兆円」は、協会の表の億円の数字を当サイトで丸めたものです。もとの数字は、取引金額=店頭FX 24,234,496億円・くりっく365 49,337億円、期末建玉=111,265億円・17,657億円、預託金=20,647億円・5,751億円です
- 証拠金10万円、取引の金額100万円分で4万円、利益30万円で税金60,945円、スワップ100円、店頭FXの1,000円に対する約2円は、説明のための仮の例・たとえです。税金の例は、ほかの損益や控除を考えない単純な計算です
- 全額預託を定める内閣府令や取引所規則の条文、取引参加者が破綻したときに証拠金が返還される手続は、本記事では確認していません。取扱会社ごとの手数料やスプレッドも比べていません
本記事は法令と公表資料の一般的な解説であり、投資判断や特定の取引・業者の利用を勧誘するものではありません。記載は執筆時点の公開情報に基づきます。
