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使っている国内のFX業者から、「サービス終了」「事業譲渡」「口座移管」のお知らせが届くことがあります。そのとき気になるのは、建玉(まだ決済していないポジション)と証拠金(取引のために預けているお金)がどうなるかです。2026年9月14日にも、国内の証券会社1社の店頭FX(取引所を通さないFX)が、他の業者へ譲渡されました。
結論を先に書きます。行き先は「決済してお金を返される」か「口座ごと他社へ移る」かの2つです。業務の廃止や事業譲渡・会社分割なら、業者はその日の30日前までに公告(官報や新聞などで広く知らせること)をします。実例では、期日までに何もしない口座は、業者の決めたタイミングで決済されるか(1件)、口座ごと他社へ移されました(2件)。
業者がやめるとき、お金はどうなる?

業者が「やめる」形は、法律(金融商品取引法)の届出の決まりに並んでいます。業務の廃止、合併による消滅、解散(破産を含む)、会社分割、事業譲渡などです。業者は、その日から30日以内に当局(業者を監督する役所)へ届け出ます。
お客さんから見ると、建玉と証拠金の行き先は2つです。業者が取引を終えてお金などを返すか、口座が他の会社へ移るかです。
| やめる形 | 建玉と証拠金 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 業務の廃止・解散 | 業者が取引を終えて返す | 業務をやめる・会社をたたむ |
| 登録取消し | 元の業者が取引を終えて返す | 国の登録を取り消される |
| 事業譲渡 | 他社へ移る(お客さんの承諾が前提) | 事業を他の会社へ渡す |
| 会社分割 | 引き継ぐ会社へ移る | 事業を切り分けて別の会社に引き継がせる |
FXだけをやめて、ほかの業務は続ける場合もあります。これが法律の「廃止」に当たるかは、条文と金融庁の監督指針(業者を監督するときの指針)から読み取れませんでした。
やること:お知らせが「取引を終えて返す」話か、「口座が他社へ移る」話かを確かめる。
やめる日の何日前に公表される?

答えは30日前までです。業者は、次のことを「しようとするとき」は、その日の30日前までに公告をします。あわせて、全ての営業所・事務所に掲示(貼り出すこと)をします。
- 業務の廃止
- 合併(その業者が消える場合)
- 合併・破産以外の理由での解散
- 会社分割
- 事業の全部か一部の譲渡
FXの事業だけを他社へ移すのも、事業の一部の譲渡として対象と読めます。公告の方法と中身も、法律の下の決まり(内閣府令)で決まっています。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 期限 | その日の30日前まで |
| 方法 | 官報(国の広報紙)か日刊新聞紙。会社などの法人は、その法人の公告方法。官報・新聞なら、原則として掲示の内容をウェブサイトにも載せる |
| 書く中身 | 取引の終え方(結了の方法)とお金などの返し方(財産の返還の方法) |
| 当局への届出 | 公告したら直ちに |
ただし、破産手続開始の決定による解散と登録取消しは、この公告の対象に入っていません。30日前の公告の義務はかかりません。
届出を受けた当局は、検査などで3点を確かめます。その1つは、お客さんへの支払い(債務の弁済)が完全に行われる確実な見込みがあるかです(金融庁の監督指針)。
やること:業者のお知らせで、「取引の終え方」と「お金などの返し方」が書かれた所を読む。
業務をやめるなら決済して返すの?

法律では、取引を終えて返す義務があります。業務の廃止や解散の公告をした業者は、お客さんとの取引を速やかに結了します。預かったお金などは、遅滞なく返還します(遅れずに返すこと)。
「結了」は、取引を終えることです。FXなら、建玉を決済して終えることだと読めます(推定)。「速やかに」「遅滞なく」が何日以内かは、条文に書かれていません。
同じ義務は、解散や廃止をした業者と、登録を取り消された業者にもかかります。取引を終える目的の範囲では、なお業者とみなされます(行政処分の記事)。
| 場面 | 取引を終えて返す義務 |
|---|---|
| 廃止・解散の公告をした | あり |
| 解散・廃止をした、登録を取り消された | あり |
| 合併・会社分割・事業譲渡の公告をした | この義務からは除かれる |
事業譲渡と会社分割では、口座を他社へ移す形になります。くわしくは次の見出しで書きます。
2020年の実例は、ある銀行がFXだけを終えたものです。残った建玉は、業者が任意のタイミング(業者が決めたタイミング)で強制決済しました。
この銀行は、取引規定(取引のルール)にもとづく形を取りました。お知らせを、全ての契約の解約の申し出とする形です。
やること:お知らせで、自分で決済できる期日と、その後に業者が決済する時期を確かめる。
口座が他社へ移るとき同意は要る?

形によって違います。事業譲渡では、お客さんの承諾が前提です。会社分割では、承諾は条文上の要件ではありません。
事業譲渡で口座の契約を移すのは、「契約上の地位」(契約の当事者という立場)を移すことです。法律(民法)では、相手方(FXならお客さん)が承諾したときに、この立場が移ります。
会社分割では、引き継ぐ会社が、分割の効力が生じる日に権利と義務を引き継ぎます(承継)。どう引き継ぐかは、分割の契約の定めに従います。ここで書いたのは、すでにある別の会社へ引き継ぐ「吸収分割」の決まりです。
| くらべる所 | 事業譲渡 | 会社分割 |
|---|---|---|
| お客さんの承諾 | 条文上の要件 | 条文上の要件ではない |
| 実例での扱い | 期日までに不同意(移らないこと)を申し出なければ、移る先の約款(取引のルール)に同意したとみなす | 期日までに決済・出金して申し出なければ、引き継がれる |
会社分割には、もう1つ決まりがあります。債権者(お金などを請求できる人)のうち、分割の後に元の会社へ請求できなくなる人は、異議(反対の意見)を述べられます。異議を述べられる期間は、1か月以上です。
ただ、FXのお客さんがこの債権者に当たるかは、本記事では確認していません。「申し出がなければ同意とみなす」やり方が、民法の「承諾」に当たるかも、確認していません。
やること:移りたくないときの手続きと期日を、お知らせで確かめる。
何もしないとどうなるの?

国内の業者3社のお知らせ(告知文)で、日程を確かめました。社名とサービス名は伏せます。期日までに何もしない口座は、業者の決めたタイミングで決済されるか(1件)、口座ごと他社へ移されました(2件)。
| 実例 | 期日までに自分ですること | 期日後に残った口座 |
|---|---|---|
| 実例1:ある銀行がFXを終了(2020年9月9日告知) | 移るなら、移管申込書(10月31日必着)を出し、移る先の口座を11月30日までに開く。移らないなら、12月18日17:00までに決済 | 12月18日17:00以降、業者の任意のタイミングで強制決済。残ったお金は12月22日以降、その銀行の預金口座へ |
| 実例2:ある銀行がFX事業を会社分割(2024年10月15日告知) | 移らないなら、利用停止依頼期日(延長後2025年1月24日)までに決済・出金して申し出る | 2025年2月2日に、権利と義務が引き継がれた(承継) |
| 実例3:ある証券会社が店頭FXを事業譲渡(2026年4月28日続報) | 移らないなら、6月26日までに意向表明書を出し、8月14日までに決済・出金 | 何もしない口座は9月14日に移管(他社へ移された)。不同意で残った建玉は、8月17日以降に業者が順次決済 |
実例3は、3月26日のお知らせでは、店頭FXを9月末で終える予定とされていました。4月28日の続報で、事業譲渡に変わりました。
実例3の移管では、次のことが告知されています(FXの税金の記事)。
- 注文中の注文(まだ成立していない注文)は引き継がれない
- 移る先に口座がある人にも、別の口座が開かれる
- 2026年の確定申告には、2社分の損益計算書(もうけと損をまとめた書類)が要る
実例2では、個人のレバレッジの形が変わりました。レバレッジは、預けたお金の何倍まで取引できるかです。1・3・5・10・25倍のコースから選ぶ形が、引き継いだ後は「最大25倍相当」に変わりました。
やること:期日を書き留める。移るか、決済して出金するかを選べるなら、期日までに自分で選ぶ。移るなら、注文中の注文と確定申告の書類の扱いも確かめる。
業者がお金を返しきれなかったら?

返しきれない事態に備えるのが、顧客区分管理信託です。お客さんのお金を会社のお金と分けて、信託で管理するしくみです(信託保全の記事)。
信託で守る額は、業者が「廃止その他の理由により」業務を行わなくなる場合に、お客さんに返すべき額と決められています。
| 場面 | 信託の扱い |
|---|---|
| 廃止・解散やその公告、登録取消し、破産などの申立て | 原則として、弁護士などの受益者代理人だけが権限を使う |
| 1人ひとりへの支払い | お金に換えた額を、各自の額の割合で分ける(按分)。自分の額が上限 |
| 信託のお金が足りないとき | 業者が2営業日以内に追加 |
受益者代理人は、お客さんの代わりに信託の権利を使う人です。
たとえば、お金に換えた額が、全員分の合計の98%だったとします。自分の額が100万円の人には、98万円です(仮の例)。
日本投資者保護基金の補償(1人1,000万円まで)は、FXの資産を対象にしていません(投資者保護基金の記事)。
やること:FXの証拠金に、投資者保護基金の1,000万円の補償を当てにしない。
まとめ

- 行き先は2つ。廃止・解散・登録取消しなら決済して返される。事業譲渡・会社分割なら口座を他社へ移す形になる
- 廃止・事業譲渡・会社分割などは30日前までに公告し、全ての営業所に掲示する。公告には取引の終え方とお金などの返し方を書く
- 破産による解散と登録取消しは、30日前の公告の対象外
- 廃止・解散・登録取消しなら、業者は取引を速やかに終え、お金などを遅滞なく返す。何日以内かは条文にない
- 事業譲渡はお客さんの承諾が前提。会社分割は分割の契約に従って引き継がれる
- 実例では、何もしないと業者のタイミングで決済されるか、口座ごと移された
- 返しきれないときは、信託から割合に応じて返る(自分の額が上限)。投資者保護基金はFXを補償しない
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国内の登録業者を併用する、という選び方
このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。
- MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)

- 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。
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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。
出典・注記
- 金融商品取引法 第43条の3・第50条の2・第52条・第52条の2・第53条・第54条・第56条、金融商品取引業等に関する内閣府令 第143条の2・第205条、民法 第539条の2、会社法 第759条・第789条(e-Gov法令APIで2026年10月2日取得。9月28日にも取得した条は同文。金商法・会社法は2026年8月12日、内閣府令は8月3日、民法は6月24日施行の版)
- 本文と条文の対応:業者がやめるときの届出(その日から30日以内)=金融商品取引法(金商法)50条の2第1項/30日前までの公告と全ての営業所・事務所への掲示=同条6項/公告の方法(官報・日刊新聞紙・法人の公告方法、ウェブサイトへの掲載)=金融商品取引業等に関する内閣府令(業府令)205条1項/公告に書く中身(取引の結了の方法・財産の返還の方法)=同条2項/公告したら直ちに届出=金商法50条の2第7項/速やかな結了と遅滞ない返還=同条8項(合併・会社分割・事業譲渡の公告は同項かっこ書きで除かれる)/解散・廃止をした業者と登録を取り消された業者(52条1項・52条の2第1項・53条3項・54条)への当てはめと、結了の目的の範囲でなお業者とみなすこと=56条1項(準用)/当局が確かめる3点=監督指針III-3-2(3)/事業譲渡での契約上の地位の移転と相手方の承諾=民法539条の2/会社分割(吸収分割)での承継=会社法759条1項/債権者の異議(1か月以上)=会社法789条1項2号・2項/顧客区分管理信託=金商法43条の3・業府令143条の2(受益者代理人だけが権限を行使=同条1項4号、守る額の定義と2営業日以内の追加=同項6号、按分での支払い=同項14号)
- 金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(令和8年8月)III-3-2(3)、日本投資者保護基金「よくあるご質問」(いずれも2026年9月28日取得)
- 国内の業者3社の告知文(2020年9月9日付、2024年10月15日付と2025年2月3日付、2026年3月26日付と4月28日付(7月6日更新)とサービス終了後の告知。2026年9月28日取得。2020年分は公開アーカイブの写し(2025年6月16日保存)で確認)
- 98%・100万円は、按分の計算を示すための仮の例です
- FXだけをやめる場合が「廃止」に当たるか、実例2・3の公告の現物、みなし同意が民法上の承諾に当たるか、FXの顧客が会社分割で異議を述べられる債権者に当たるか、信託で返しきれなかった部分の扱い、受益者代理人が信託から返した国内の事例は、本記事では確認していません
本記事は法令の一般的な解説であり、法的助言や、特定の業者・取引を勧めるものではありません。お知らせが届いたら、その業者の告知と書面で期日と手続きを確かめてください。記載は執筆時点の公開情報に基づきます。
