FXにクーリング・オフはある?|ない・対象は投資顧問契約だけ

FXにクーリング・オフはある?|ない・対象は投資顧問契約だけ

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FXの口座を開いたけれど、やっぱりやめたい。クーリング・オフで、口座の契約や取引を取り消せるのでしょうか。金融商品取引法(金商法)の「書面等による解除」を、この記事ではクーリング・オフと呼んで読みます。

結論を先に書きます。FXの取引や口座の契約に、クーリング・オフはありません。使えるのは「投資顧問契約」(売買の助言)だけで、契約成立時の書面などを受け取った日から10日です。訪問販売などのクーリング・オフ(特定商取引法)も、登録を受けた業者のFXには使えません。

目次

FXの口座や取引は取り消せるの?

FXの取引を取り消せるかと問う美咲の横で、スマホの「約定」した取引にクーリング・オフの×を付け、取引をやめるなら決済、口座をやめるなら各社の約款の手続、と2枚のカードで示した図

クーリング・オフでは取り消せません。FXの取引も、FXの口座を開くときの契約も、書面等による解除の対象外です。

FXの取引そのものは、次の節で説明する「投資顧問契約」ではありません。約定した(成立した)取引を、この解除で取り消すことはできません。

取引をやめたいときは、建玉(まだ決済していない取引)を反対売買で決済します。反対売買は、買っていたなら売り、売っていたなら買い戻すことです。たとえば1万通貨を買っていたら、1万通貨を売ります(仮の例)。

口座そのものをやめる(解約する)手続は、各社の約款(会社ごとに決めた取引のルール)によります。手続の中身は、この記事では確かめていません。

やること:取引をやめるなら決済する。口座をやめるなら、使っている会社の約款で解約の手続を確かめる。

クーリング・オフが使えるのはどんな契約?

FXの取引とFXの口座の契約に×、登録業者から売買の助言を受ける投資顧問契約にだけ○を付けた3枚のカードを並べ、助言の契約ならできるのかと蓮が確かめている図

答えは「投資顧問契約」だけです。金商法では、登録を受けた業者と契約したお客は、書面か電子データ(電磁的記録)で契約を解除できます。ただし、対象は「政令で定めるもの」に限られています。

政令は、法律の細かい中身を決める内閣のきまりです。その政令に書いてあるのは1行だけで、「投資顧問契約とする」です。

投資顧問契約は、投資の判断について助言を受け、その代わりに報酬を払う契約です。助言は、有価証券(株など)や金融商品の価値などの分析にもとづくものです。

投資の判断には、どんなデリバティブ取引を、いつ行うかの判断も入ります。デリバティブ取引は、もとになるものの値動きで損益が決まる取引です。FXの取引も、その1つ(店頭デリバティブ取引)です。

FXのシグナル配信やEAの販売は、この投資顧問契約に当たるのか。投資助言・代理業(投資の助言などを仕事として行うこと)の登録が要るのか。どちらも別の記事で読みました(シグナル配信・EA販売と登録の記事)。

契約書面等による解除
FXの取引対象外
FXの口座を開くときの契約対象外
登録を受けた業者との投資顧問契約(売買の助言)対象(10日)

登録を受けていない者や、海外の業者との契約がどう扱われるかは、この記事では確かめていません。

自分の契約が対象かどうかは、契約締結前交付書面で確かめられます。契約を結ぶ前に、業者から受け取る書面です。この書面には、書面等による解除が使えるかどうか(適用の有無)を必ず書きます。

使える場合は、解除の決まりの中身も書きます。FXの書面なら「適用なし」の側が書かれているはずです(契約締結前の書面の記事)。取引が成立したあとに届く書面は、取引報告書の記事で読みました。

やること:口座を開いたときの契約締結前交付書面で、「適用の有無」が書いてある所を探してみる。

投資顧問契約は何日以内なら解除できる?

契約成立時の書面を受け取った日を1日目として10のマスを並べたカレンダーの10日目に赤丸を付け、ポストに封筒を入れる絵と「出した時に効力」の札で、10日目に出せば間に合うかを美咲が確かめている図

10日です。数え始めるのは、契約が成立したときの書面などを受け取った日です。

紙の書面なら、受け取った日です。電子で受け取ったなら、ファイルに記録された日などです。受け取り方ごとの日は、内閣府令(法律の細かいルールを決めた命令)が決めています。

解除は、書面か電子データで行います。効力が出るのは、書面が業者に届いた時ではありません。書面を出した時です(データを記録した媒体なら、発送した時)。

たとえば10日目に出せば、業者に届くのが11日目以降でも間に合う形です。

項目中身
期間10日
数え始める日契約成立時の書面などを受け取った日
方法書面か電子データ(電磁的記録)
効力が出る時書面を出した時(記録媒体は発送した時)

投資顧問契約なら、契約前の書面に「10日以内に解除できること」が書かれます。「効力は出した時に生じること」も書かれます。契約を結んだときの書面にも、解除に関する事項が書かれます。

やること:投資顧問契約をやめたいなら、10日以内に解除の書面を出す。10日は、契約成立時の書面を受け取った日から数える。

解除したらいくら払うことになる?

日割りの場合の仮の例として、年12万円の契約を5日で解除すると1日あたり328円、業者が受け取れるのは1,640円までであることを、城戸の問いと業者の担当者の絵で示した図

業者が受け取れるのは、内閣府令で決めた額までです。それを超えて、損害賠償や違約金を求めることはできません。

報酬を前払いしていたら、業者はそれを返します。ただし、内閣府令で決めた額の分は除きます。決めた額は、場合によって3つに分かれます。

場合業者が受け取れる額
解除までに、助言をまだしていない契約を結ぶのにふつうかかる費用の額(通常要する費用)
報酬が助言の回数で決まる解除までにした助言の回数に応じた報酬(社会通念上相当な額=常識で見て妥当な額まで)
それ以外日割りの報酬(全期間の報酬÷契約期間の総日数×数え始めた日から解除までの日数)

日割りでは、1日あたりの額の1円未満を切り捨てます。契約期間の終わりが決まっていないときは、総日数を365日とみなします。

日割りの場合の仮の例です。年12万円の契約で、数え始めた日から解除までが5日だとします。120,000円÷365日=328円(1円未満切り捨て)、328円×5日=1,640円です。

やること:解除する前に、自分の契約が3つの場合のどれに当たるかを確かめる。

「解除できません」と書いてあったら?

投資顧問契約の契約書にある「解除はできません」「解除したら違約金を払う」の行に取り消し線を引き、無効のハンコを押した絵で、お客に不利な特約は無効であることを佳奈が確かめている図

投資顧問契約なら、その部分は無効です。解除の決まりに反する特約で、お客に不利なものは無効、と法律で決まっています。特約は、契約の中の特別な取り決めのことです。

契約書に「解除はできない」「解除したら違約金を払う」と書いてあっても、その部分は効力を持ちません。

業者の広告にも線があります。契約の解除に関する事柄は、誇大な広告(大げさな広告)をしてはいけない事柄に入っています。

やること:「解除できない」と書いてあっても、投資顧問契約なら10日の期間内かを確かめる。

訪問販売のクーリング・オフは使えない?

玄関のドアと電話の絵の横で、特定商取引法のクーリング・オフに×を付けて登録業者のFXは対象外と示し、その下に国内業者の頼まれていない勧誘は原則禁止という盾を置いた図。勝又が取り消せないのかと問う

登録を受けた業者のFXには、使えません。訪問販売や電話勧誘販売のクーリング・オフを決めているのは、特定商取引法です。

ただしこの法律には、当てはめない取引の決まり(適用除外)があります。金融商品取引業者(登録を受けた業者)が行う、金融商品取引業についての販売やサービスの提供です。これには、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の決まりを当てはめません。

登録を受けた業者のFXは、この適用除外に入ります。

代わりに、金商法が勧誘そのものをしばっています。国内の業者が、頼まれていないのにFXの勧誘の電話や訪問をすることは、原則として禁じられています。不招請勧誘(頼まれていない勧誘)の禁止です(不招請勧誘の記事)。

やること:頼んでいないFXの勧誘の電話や訪問が来たら、不招請勧誘の記事で決まりを確かめる。

まとめ

契約締結前交付書面の「解除の決まりの適用:なし」の行を虫めがねと赤丸で示し、FXの取引・口座は対象外、投資顧問契約は10日の2枚のカードを添えた図。美咲がここに書いてあるのかと確かめている
  • FXの取引や口座の契約は、書面等による解除(クーリング・オフ)の対象外。取引をやめるなら反対売買で決済、口座の解約の手続は各社の約款による
  • 解除できるのは、政令で決めた投資顧問契約(売買の助言の契約)だけ
  • 期間は、契約成立時の書面などを受け取った日から10日。効力は書面を出した時に生じる
  • 業者が受け取れるのは、場合に応じて、ふつうかかる費用・助言の回数分・日割りの報酬まで(日割りの仮の例:年12万円の契約を5日で解除なら1,640円まで)
  • 解除の決まりに反する、お客に不利な特約(「解除できない」など)は無効
  • 登録を受けた業者のFXには、特定商取引法のクーリング・オフも使えない
  • 使えるかどうか(適用の有無)は、契約締結前交付書面に必ず書かれている

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国内の登録業者を併用する、という選び方

このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。

  • MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)
  • 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。

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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。

出典・注記

  • 金融商品取引法 第2条第8項第11号・第37条・第37条の6、金融商品取引法施行令 第16条の3、金融商品取引業等に関する内閣府令 第78条・第82条・第95条・第106条・第115条・第115条の2、特定商取引に関する法律 第26条(e-Gov法令APIで取得・2026年9月24日)
  • 本文と条文の対応:書面等による解除と、対象を政令で定めるものに限ること=金融商品取引法37条の6第1項/対象は投資顧問契約=同法施行令16条の3第1項/投資顧問契約の意味=金融商品取引法2条8項11号/10日=同法施行令16条の3第3項/数え始める日(契約成立時の情報=37条の4の書面など)=金融商品取引業等に関する内閣府令115条/効力が生じる時=金融商品取引法37条の6第2項/損害賠償・違約金の制限=同条3項/前払いの報酬を返すこと=同条4項/業者が受け取れる額=内閣府令115条の2(1円未満の切り捨て=同条2項)/不利な特約の無効=金融商品取引法37条の6第5項/解除に関する事項の誇大広告の禁止=同法37条2項・内閣府令78条1号/特定商取引法の適用除外=同法26条1項8号イ/契約締結前交付書面の記載=内閣府令82条9号・10号、投資顧問契約の場合(10日以内に解除できる旨・効力は発した時に生じる旨)=同95条1項5号・6号/契約締結時の書面(解除に関する事項)=同106条1項3号
  • 本文の「クーリング・オフ」は、金融商品取引法37条の6の「書面等による解除」を指して使っています(「特定商取引法のクーリング・オフ」と書いた所を除く)。本文の「書面を出した時」は条文の「発した時」、「電子データ」は「電磁的記録」を言い換えたものです
  • 内閣府令82条9号の言葉は「当該金融商品取引契約への法第三十七条の六の規定の適用の有無」です。本文では「適用の有無」と書いています
  • 日割りの金額(年12万円の契約・解除までの日数5日)は、計算の流れを示すための仮の例です。反対売買の1万通貨も仮の例です
  • 口座の解約手続(各社の約款)、登録を受けていない者や海外の業者との契約の扱い、投資顧問契約で実際に請求された金額の例は、本記事では確認していません

本記事は法令の一般的な解説であり、法的助言や、特定のサービスの契約・解除を勧めるものではありません。具体的な事案は、契約の相手方の書面を確かめたうえで、専門家にご相談ください。記載は執筆時点の公開情報に基づきます。

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