FXのトラブルはどこへ?|FINMACのあっせんは2,090円から

FXのトラブルはどこへ?|FINMACのあっせんは2,090円から

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FXのトラブルで業者と揉めたら、どこへ持ち込めばいいのでしょうか。裁判は費用も時間もかかるので、いきなり起こす人はほとんどいません。その手前にあるのが、金融ADR(裁判の外で争いを解決するしくみ)の窓口です。

結論を先に書きます。日本の登録を受けたFX業者なら、裁判の手前にFINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)という窓口があります。業者は、正当な理由なく話し合いを断れません。あっせん(間に入って話をまとめる手続)の申立金は、請求額が100万円以下なら2,090円です。

目次

業者と揉めたら、裁判しかないの?

時間もお金もかかる裁判所は長い道の先にあり、その手前、美咲のすぐ近くに相談の窓口がある場面。裁判しかないのかと問う美咲に、日本の登録を受けた業者なら、口座を開いたときから窓口が用意されていることを示した図

いいえ。日本の登録を受けた業者には、裁判の手前の窓口が法律で義務づけられています。証券会社やFX業者は、法律では「第一種金融商品取引業者」に当たります。

法律が求めているのは、「指定紛争解決機関」との契約です。指定紛争解決機関は、法律にもとづく指定を受けて、裁判の外で争いを解決する機関です。

証券・FXの分野には、この機関があります。そのため業者は、この機関と「手続実施基本契約」(揉めたときの手続についての取り決め)を結ばなければなりません。

この義務は、お客さんではなく業者の側にかかっています。お客さんが前もって何かを申し込んでおく必要はありません。口座を開いた時点で、窓口はもう用意されています。

やること:使っている業者が、日本の登録を受けた業者かを確かめておく(窓口があるかの分かれ目)。

FINMACってどんなところ?

証券会社とFX業者から伸びる2本の矢印が、1つの窓口FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)に集まる図。蓮がFXの話も聞いてもらえるのかを問いかけ、証券とFXの指定の窓口が1つだけであることを示している

証券とFXの分野で指定を受けているのは、FINMAC(フィンマック)の1つだけです。正式な名前は「特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター」です。FINMAC自身の説明では、指定を受けたのは平成23年(2011年)2月15日です。

金融庁の一覧に載っている指定紛争解決機関は、8つです。ほかの7つは、銀行・保険・信託・貸金などの分野の団体です。

FXの苦情やあっせんも、FINMACが扱います。FINMACに仕事を任せている業界団体(自主規制機関)は7つあり、その1つが金融先物取引業協会です。

この協会は、2010年2月からFINMACに任せています。任せているのは、会員の金融先物取引業務についての苦情処理とあっせんです。協会の仕事は金融先物取引業協会の記事で読みました。

FINMACの対象になる業者は、次の3つに分かれます。

  • FINMACと手続実施基本契約を結んだ業者(加入第1種金融商品取引業者)
  • FINMACに仕事を任せている業界団体に入っている業者(協定事業者)
  • 個別に利用の登録をした業者(特定事業者)

窓口の名前は、口座を開く前に業者が渡す書面(契約締結前交付書面)にも載っています。指定紛争解決機関の名前を載せるよう、国の決まりで定められているためです。書面の中身は口座開設の書面の記事で読みました。

どれくらい使われているかも、FINMACが年度ごとに公表しています。2025年度は、相談5,080件・苦情1,058件・あっせんの申立て125件でした。

2025年度2024年度
あっせん(新しい申立て)125件173件
苦情1,058件859件
相談5,080件3,742件

2025年度のあっせんの申立てで最も多かったのは、「勧誘に関する紛争」の85件(68.0%)です。そのうち3つの件数は、次のとおりです。

  • 説明義務(大事なことを説明する決まり):47件
  • 適合性の原則(お客さんに合わない勧誘をしない決まり):27件
  • 断定的判断の提供(「必ず上がる」のように言い切って誘うこと):5件

説明義務と適合性の原則で何が言えるかは、説明されなかったとき、何が言えるかで読みました。

商品別では、デリバティブ(FXなど、値動きから損益が決まる取引)全体で25件でした。内訳は、CFD 17件、金融先物等 5件、有価証券関連2件、その他1件です。金融先物等には、通貨オプションや外為証拠金取引(FX)などが入ります。

CFDは、値動きの差額だけをお金でやりとりする取引です。前の年度は0件で、この1年で急に立ち上がった数字です。

やること:口座を開く前の書面で、揉めたときの窓口(指定紛争解決機関)の名前を見ておく。

業者は話し合いを断れるの?

話し合いのテーブルの左に城戸、右に業者の担当者が立ち、奥の真ん中に、間に入る委員の空いた席がある場面。テーブルに注文の履歴の書類を置き、手続に応じることと記録を出すことを業者が正当な理由なく拒めないことを示した図

正当な理由がなければ、断れません。業者とFINMACの契約に何を書くかは、法律で決まっています。お客さんの側から見て大事なのは、次の2つです。

  • 苦情や争いの手続が始まると、業者は手続に応じるよう求められることがある。求めるのは、FINMACや間に入る委員(紛争解決委員)。業者は正当な理由なく拒めない
  • 業者は、FINMACや委員から報告や、帳簿・書類などの提出を求められることもある。これも、正当な理由なく拒めない

ふつうの民間どうしの話し合いなら、相手が「応じません」と言えば終わりです。ここでは、正当な理由なく応じないこと自体が、契約に反することになります。

記録の提出も同じです。注文の履歴やサーバーの記録(ログ)を持っているのは、業者の側です。これが出てくるかどうかは、結果を大きく左右します。

なお、手続のルール(業務規程)を変えるには、内閣総理大臣の認可が要ります。機関が自分の都合で、手続をゆるめることはできません。

やること:FINMACの手続が始まったら、業者は正当な理由なく「応じない」とは言えないと知っておく。

話がまとまらないときは?

特別調停案の書類から、美咲には受け入れるかを選べる、業者の担当者には原則として受け入れる、と矢印が分かれる図。1か月以内の訴訟などの例外があることを下に添えている

話し合いがまとまらないとき、委員は特別調停案(委員が作る解決の案)を、理由を付けて示すことができます。いつも示されるわけではありません。

特別調停案は、原則として業者が受け入れなければならないものです。ただし、次の4つの場合は別です。

  • お客さんが受け入れないとき
  • まだ訴訟(裁判)になっていない場合:お客さんが受け入れたと業者が知った日から1か月以内に訴訟が起こされ、取り下げられないとき
  • すでに訴訟になっている場合:同じく1か月以内に、その訴訟が取り下げられないとき
  • 同じ期間内に、仲裁(裁判の代わりに第三者に決めてもらうこと)の合意がされたり、別の和解や調停(話し合いによる解決)が成り立ったりしたとき

裏返すと、お客さんは断る自由を持ったまま、業者の側だけが原則として縛られます。片方だけを縛るので、「片面的な拘束力」と呼ばれます。

業者が受け入れを拒むには、1か月以内に訴訟を起こす(またはすでにある訴訟を続ける)などの道しかありません。

2025年度に終わったあっせんは144件でした。内訳は和解103件・不調(まとまらなかったもの)35件・取下げ等6件です。

和解103件は件数で、いくらお金が戻ったかではありません。金額の分布は、この記事では確かめていません。

あっせんで和解してお金を受け取るのは、損失補塡(損を埋めること)の禁止とぶつからないのでしょうか。業者側の違法・不当な行為による「事故」なら、あっせんでの和解は、国の確認が要らない場合に入っています。くわしくはシステム障害で損をしたら補償されるかに書きました。

やること:特別調停案が示されたら、受け入れるかどうかは自分で選べると知っておく。

申し立てにいくらかかる?

請求する額が100万円以下なら、あっせんの申立金は2,090円であることを、振込用紙の大きな数字で示した図。いちばん上の区分の5,000万円超でも52,360円であることを添え、佳奈が確かめている

あっせんの申立てには、「申立金」がかかります。金額は、請求する額で決まります。FINMACが公表している料金表から、低い側を抜き出します(消費税込み)。

請求する額あっせん申立金
100万円以下2,090円
100万円超〜300万円以下6,270円
300万円超〜500万円以下8,360円
500万円超〜800万円以下11,550円
800万円超〜1,000万円以下13,640円

5,000万円超の区分でも、52,360円です。請求額が大きくなっても、申立金は5万円台で頭打ちになります。

仮の例です。業者に80万円を請求するなら、申立金は2,090円です。400万円を請求するなら、8,360円です。

申立てが受理されたら、受理通知が届いてから10日以内に振り込む決まりです。振込手数料は、申し立てた人の負担です。

この料金表は、あくまで「あっせん申立金」のものです。相談や苦情の受付の費用については、この料金表には定めがありません。手続にかかる期間も、この記事では確かめていません。

やること:請求する額を決めたら料金表で申立金を確かめ、受理通知から10日以内に振り込む。

海外の業者でも使えるの?

日本の登録がない海外の業者のビルからFINMACの窓口への矢印に赤い×がつき、規約の例では海を越えてセーシェルの裁判所へ向かうことを示した図。勝又が、海外の業者だとどこへ持ち込むのかを問いかけている

日本の登録を受けていない業者には、この窓口はありません。ここまでの話は、全部、日本の登録を受けた業者のものです。窓口を用意する義務は登録業者にかかるもので、登録がなければ、そもそも対象になりません。

XMTradingの場合、口座の相手はセーシェルのTradexfin Limitedです。セーシェル金融サービス庁の、証券ディーラーライセンス(SD010)を持つ会社です。運営会社のことはXMの運営会社と規制当局に書きました。

同社の規約(Client Agreement)は、苦情の出し方と、揉めたときの行き先を自分で決めています。運営会社の記事では、準拠法(契約をどの国の法律で読むか)と裁判所の決まりを確かめていませんでした。今回、あらためて読みました。

  • 苦情の出し方:正式な苦情は、決まったフォームに書き、メール(complaints@xmtrading.com)で送る。受け取ったことの確認は、2営業日以内に書面で来る。営業日は、セーシェルの銀行休業日を除く月曜〜金曜
  • 準拠法と裁判所:契約はセーシェルの法律に従い、セーシェルの裁判所が扱うことに同意する
  • ただし書き:会社がほかの国などの裁判所で手続をとる権利は、制限されない

非難する意図はありません。セーシェルで免許を受けた会社が、セーシェルの枠組みを書いているだけです。ただ利用者から見ると、「2,090円で申し立てられ、業者が正当な理由なく拒めない手続」に当たるものは、規約のどこにもありません。

規約は「セーシェルの裁判所」と決めています。それでも、日本に住む消費者が日本の裁判所に訴えられるかは、別の法律の問題です(海外業者と裁判の記事)。

FINMAC自身も、扱える範囲をはっきり書いています。SNSなどで実在の証券会社をかたる偽広告に、注意を呼びかけるページです。そこには「当センターでは偽広告等による被害回復のご相談はお受けできません」とあります。

相手がFINMACに加入した業者でなければ、呼び出す先がないからです。無登録の業者に日本の当局ができること・できないことは、無登録営業の条文と罰則にまとめています。

やること:口座を開く前に、金融庁の登録業者一覧で登録の有無を確かめる。海外の業者なら、規約の苦情と裁判所の項目を読んでおく。

まとめ

口座を開く前の書面にある指定紛争解決機関FINMACの1行と、海外業者の規約の準拠法・裁判所の項目を、虫めがねで確かめる場面。凛がどこに書いてあるかを問いかけ、口座を開く前に揉めたときの行き先を見ることを示した図
  • 日本の登録を受けたFX業者と揉めたら、裁判の手前にFINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)がある。証券・FXの指定紛争解決機関は、この1つだけ
  • 窓口を用意する義務は業者の側にある。お客さんが前もって申し込む必要はない。窓口の名前は、口座を開く前の書面に載っている
  • FXの苦情とあっせんも、FINMACが扱う。金融先物取引業協会が2010年2月から、会員の金融先物取引業務の苦情処理とあっせんを任せている
  • 業者は、手続に応じることと記録を出すことを、正当な理由なく拒めない
  • 特別調停案が示され、お客さんが受け入れたら、業者は原則として受け入れなければならない(1か月以内の訴訟などの例外あり)。お客さんは断ってもよい
  • 申立金は請求する額で決まり、100万円以下なら2,090円。2025年度のあっせんは新しい申立て125件、終わった144件のうち和解103件
  • 日本の登録がない業者には、この窓口はない。XMの規約はセーシェルの法律・セーシェルの裁判所。口座を開く前に、揉めたときの行き先を見ておく

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国内の登録業者を併用する、という選び方

このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。

  • MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)
  • 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。

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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。

出典・注記

  • 金融商品取引法 第37条の7、第156条の38、第156条の44(e-Gov法令APIで取得・2026年9月20日)
  • 本文と条文の対応:業者が指定紛争解決機関と手続実施基本契約を結ぶ義務=金融商品取引法37条の7第1項1号イ(見出しは「指定紛争解決機関との契約締結義務等」。指定第一種紛争解決機関が存在しない場合〈ロ〉に講じる措置は、苦情処理措置および紛争解決措置〈認証紛争解決手続によることなど〉)/指定紛争解決機関=156条の38第1項の指定を受けた者/手続に応じるよう求められ、正当な理由なく拒めない=156条の44第2項2号/報告または帳簿書類その他の物件の提出=同項3号/特別調停案を示すこと=同項5号/特別調停案の意味と4つの例外=同条6項(「次に掲げる場合を除き、加入金融商品取引関係業者が受諾しなければならないもの」)/業務規程の変更の認可=同条7項/契約締結前交付書面に指定紛争解決機関の商号または名称を載せること=内閣府令82条15号/損失補塡の禁止=金融商品取引法39条、事故についてのあっせんでの和解が確認の要らない場合に入ること=内閣府令119条1項4号/申立金の納付(受理通知の到着後10日以内)=FINMACのあっせん規程32条/日本の裁判所に訴えられるか=民事訴訟法の問題(別記事)
  • 金融庁「指定紛争解決機関一覧」(2026年9月20日閲覧)。8団体と業務の種別は同ページによる。8団体=一般社団法人生命保険協会(生命保険業務/外国生命保険業務)、一般社団法人全国銀行協会(銀行業務/農林中央金庫業務)、一般社団法人信託協会(手続対象信託業務/特定兼営業務)、一般社団法人日本損害保険協会(損害保険業務ほか)、一般社団法人保険オンブズマン(損害保険業務ほか)、一般社団法人日本少額短期保険協会(少額短期保険業務)、日本貸金業協会(貸金業務)、特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター(特定第一種金融商品取引業務)
  • 特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)「第1種金融商品取引業者」「対象とする事業者」「あっせんとは」「あっせん申立ての料金表」「投資家への注意喚起」(2026年9月20日閲覧)。指定日、対象事業者の区分、申立金の額、偽広告に関する記載は同サイトによる。本文の申立金の表は料金表の低い側を抜き出したもので、1,000万円超〜5,000万円以下の区分は載せていません
  • 同「2025年度 紛争解決等業務の実施状況について」(2026年6月公表)。あっせん・苦情・相談の件数、終結の内訳、内容別・商品別の内訳は同資料による
  • XMTrading(Tradexfin Limited)Client Agreement 第81項(苦情の手続)・第94項(94.1項=準拠法と管轄、94.2項=他の管轄で手続をとる権利)(2026年9月20日取得)。苦情の手続と準拠法・管轄の記載は同規約による
  • 平成23年=2011年は、当サイトで書き添えたものです。80万円・400万円の請求は仮の例です
  • あっせんの手続にかかる期間、和解した場合の金額の分布、相談・苦情の受付にかかる費用は、本記事では確認していません
  • 指定紛争解決機関が存在しない業態での苦情処理措置・紛争解決措置の実務も、本記事では確認していません
  • 本記事には、当サイトが広告を掲載している業者(XMTrading)が含まれます。記載は同社の公表資料によるものです

本記事は公表資料と法令の一般的な解説であり、法的助言や投資判断、特定の業者の利用を勧誘するものではありません。また特定の業者を非難する趣旨のものでもありません。取引の条件や手続は業者・機関ごとに異なり、変更されることがあります。記載は執筆時点の公開情報に基づきます。

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