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FXの口座を開くとき、長い書面に「同意する」を押したはずです。あの口座開設の書面には何が書いてあって、どこを読めばいいのでしょうか。
結論を先に書きます。あの書面は、業者が今も「契約締結前交付書面」と呼んでいるものです(法律の言葉は2025年4月1日から「契約締結前の情報の提供等」)。読む所は、損のおそれ・必要証拠金・お金の預け先・注文の流し先(カバー取引の相手方=カバー先)・揉めたときの窓口の5か所です。カバー先は実名で載っていて、JFXは1社、DMM FXは15社でした。
口座開設の書面って何のため?

ひとことで言うと、契約の前に、業者がお客さんへ大事なことを伝えるための説明書です。法律で、業者は契約の前に、決まった事項の情報を提供しなければなりません。
条文には「あらかじめ、顧客に対し、次に掲げる事項に係る情報を提供しなければならない」とあります。情報を提供しなかったり、うその情報を提供したりしたときの罰則もあります。6か月以下の拘禁刑(刑事施設に入れられる刑)か50万円以下の罰金、または両方です。
この決まりの見出しは、2025年4月1日から「契約締結前の情報の提供等」に変わりました。金融庁の説明では、情報を伝える手段を「書面」か「デジタル」かで選べるようにした改正です。お客さんのデジタルへの慣れ(デジタル・リテラシー)に応じて選べる、というものです。
だから「契約締結前交付書面」という言葉は、いまの法律の条文には出てきません。世の中の解説の多くは、改正前の言葉のままです。
それでも、業者の書面は今も「契約締結前交付書面」と名乗っています。DMM FXの説明書は題に、JFXの説明書は説明書の中で、そう書いています。法律の下の細かい決まり(内閣府令)のうち、書く中身を並べた条の見出しが、今も昔の名前のままだからです。提供のしかたを決めた条の見出しは、新しい言い方に変わっています。
法律と細かい決まりで、呼び名がずれているわけです。読む側は、呼び名が何であれ、同じ書面と思って開けばよいということです。
同じ2025年4月1日から、「渡せばよい」ではなく「理解されるように説明する」ことも法律に書かれました。お客さんの知識・経験・財産の状況・契約の目的に照らして説明する決まりです。理解されるのに必要な方法と程度で、説明しなければなりません。
それまで、この説明の決まりは主に内閣府令の側にありました。
取引の後に届く取引報告書や取引残高報告書も、いまは同じ「情報の提供」の形です(FX業者から届く報告書の記事)。口座開設のときの本人確認とマイナンバーは、別の法律の話です(本人確認の記事・マイナンバーと支払調書の記事)。
なお、この決まりは日本の登録を受けた業者の義務です。登録を受けていない業者には及びません(無登録営業の条文と罰則)。
XMTradingで口座を開くときに承諾するのは、英文の Client Agreement と関連の文書です。リスクの説明や約款の組み立ては、日本の書面とは別の枠組みです(運営会社と規制当局もセーシェルとモーリシャス)。
書面に書くことは、法律が直接並べる7つに加えて、細かい決まりが3段で決めています。デリバティブ取引は為替などの値動きをもとにした取引で、FXもその1つです。「店頭」は、取引所を通さずに業者とする取引のことです。
| 対象の取引 | 決まっている項目 | この記事で見る所 |
|---|---|---|
| どの取引にも共通 | 15項目 | 損のおそれ・税金・揉めたときの窓口 |
| デリバティブ取引 | さらに7項目 | 必要な証拠金 |
| 店頭デリバティブ取引 | さらに4項目 | お金の預け先・注文の流し先 |
やること:口座を開いた業者の書面を開き、「契約締結前交付書面」の文字を探してみる。
損するおそれはどう書いてある?

損のおそれは、法律が直接書かせている事項です。法律が並べる7つには、業者の名前と住所、登録番号、契約の概要、手数料が入ります。そして、損のおそれが2つあります。
- 指標(為替レートなど、損益のもとになる数字)の動きで、損が出るおそれ
- その損が、預けた証拠金を上回るおそれ
証拠金は、取引のために業者へ預けておくお金です。7つ目は「内閣府令で定める事項」で、ここから共通の15項目につながります。
15項目には、損のことがさらにくわしく入ります。損が出る指標と、その理由。預けた額を超える損(元本超過損)が出る指標と、その理由です。
業者などの仕事や財産の状態が変わることで損が出るおそれと、その理由も書かせています。
仮の例です。証拠金10万円を預けていても、損が10万円で止まるとは限らない、ということです。書面には、そのおそれと理由を書くことになっています。
同じ15項目には、その契約の税金の概要もあります。
やること:書面で損のおそれと税金について書いた所を探し、預けた額を超える損のおそれがどう書いてあるかを読む。
必要な証拠金はどこで分かる?

FXのようなデリバティブ取引では、共通の15項目にさらに7項目が足されます。その1つが、証拠金の種類と金額の計算方法です。
ここが、いわゆる「必要証拠金一覧表」のもとです。必要証拠金は、取引をするのに預けておく必要があるお金です。
レバレッジ上限の記事で見た4%(25倍)は、ここで具体的な金額として示されます。レバレッジは、預けたお金の何倍の額まで取引できるかのことです。
仮の例です。取引額が100万円なら、その4%は4万円です(4%の単純計算)。
同じ7項目には、ほかに次のことも入ります。
- 約束したお金のやりとりの方法と、決済の方法(取引を終わらせるときのやり方)
- 証拠金にあてられる財産の種類と、それをいくらとして数えるか。証拠金の預け方と返し方
- 手数料などの取り方
- デリバティブ取引の主な用語と、基礎的なこと
やること:書面の必要証拠金の表で、取引したい額にいくら要るかを確かめる。
お金の預け先はどこに書いてある?

FXの書面には、もう1段あります。JFXやDMM FXの書面の名前にもある「店頭」の取引です。この店頭デリバティブ取引の書面だけに、さらに4つの項目が求められます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 注文の流し先 | カバー取引の相手方の会社名と業務の内容。外国の会社なら、監督している外国の当局の名前も |
| 取引の間に立つ相手 | 媒介・取次ぎ・代理の相手方の会社名と業務の内容(外国なら当局の名前も) |
| 禁止されていること | その契約に関する禁止行為 |
| お金の管理と預け先 | 財産の管理方法と預託先 |
お金の預け先は、4つ目の「財産の管理方法と預託先」です。信託保全の記事で見たものです。信託保全は、預かったお金を、信託の形で銀行に分けて預けるしくみです。
信託先の銀行名が書面に載っているのは、この項目があるからです。
やること:書面で信託先の銀行名を探し、預けたお金の管理先を確かめておく。
注文の流し先まで書いてあるの?

書いてあります。4つの項目の1つ目が、カバー取引の相手方(カバー先)です。
国内のFXは、業者とお客さんが1対1でする取引(相対取引)です。お客さんが買えば、業者は売る側に立ちます。だから業者は、お客さんと反対側のリスクを抱えます。
そのリスクを別の相手に流して打ち消すのが、カバー取引です。その相手が誰かを、契約の前に開示させています。会社名と業務の内容、外国の会社なら監督している外国の当局の名前までです。
実物を2社分読みました(2026年9月21日取得)。
| 業者の書面 | カバー先の数 | 書いてあること |
|---|---|---|
| JFXの「事前説明書」 | 1社 | ヒロセ通商株式会社(金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第41号) |
| DMM FXの説明書(43ページ) | 15社 | 15社の社名と、監督している当局の名前 |
JFXの書面には、「マリー取引を行わずに全ての注文をシステムによる自動発注にて」とあります。マリー取引は、お客さんの注文どうしを社内で相殺することです。JFXはそれをせずに、注文を全部外に出す、という意味です。
DMM FXの書面によると、15社を監督しているのは、英国・シンガポール・フランス・ドイツ・オーストラリア・米国・日本の当局です。日本の1社は三井住友銀行です。15社の社名は、書面の表記のまま「出典・注記」に載せました。
DMM FXの書面には、こうも書いてあります。カバー取引は業者とカバー先の取引です。カバー先とお客さんのあいだには一切の契約関係がなく、お客さんがカバー先に直接請求することはできません。
ここは誤解が生まれやすい所です。名前が並んでいても、あなたの取引の相手は、あくまで日本のその業者1社です。カバー先の名前は、業者がリスクをどこへ流しているかの情報で、あなたの請求先ではありません。
業者がどこまでカバーしているかは、別の開示で毎月公表されています(未カバー率など3つの数字)。2社の数字はFX業者の自己資本規制比率を読むで読みました。
カバー先は、書面の改訂で変わります。XMTradingの規約にカバー先を開示する条項があるかは、この記事では確認していません。
やること:カバー先は「業者がどこへ流しているか」として読む。請求の相手は、契約した業者。
揉めたときの窓口も書いてある?

書いてあります。共通の15項目の最後が、指定紛争解決機関の名前です。業者とお客さんの揉めごとを、裁判の外で解決するための機関です。
揉めたときの持ち込み先を、契約の前に示しなさい、ということです。そうした機関が無い場合は、苦情の処理や揉めごとの解決のための取り組みの内容を書きます。
実物では、JFXもDMM FXも、FINMACの名前と電話番号が載っています(金融ADRとFINMACの記事)。
同じ15項目には、業者の概要と、業務の内容と方法の概要もあります。加入している金融商品取引業協会(業者の団体)があるかどうかと、その名前もです。
クーリング・オフ(契約したあとに書面で解除できるしくみ)が使えるかどうかも、書くことになっています。FXの契約は対象外です(クーリング・オフの記事)。
やること:書面で指定紛争解決機関の名前と電話番号が載っている所を探し、確かめておく。
まとめ

- 口座開設の書面は「契約締結前交付書面」。法律の見出しは2025年4月1日から「契約締結前の情報の提供等」で、条文にこの書面の名前は出てこない。業者の書面は今も昔の名前
- 情報を提供しない・うその情報を提供したときは、6か月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金、または両方。2025年4月1日からは「理解されるように説明する」ことも法律に
- 中身は3段=共通15項目+デリバティブ7項目+店頭デリバティブ4項目
- 損のおそれ:預けた証拠金を上回る損のおそれとその理由、税金の概要が載る
- 必要証拠金:計算方法の項目が「必要証拠金一覧表」のもと。4%(25倍)が具体的な金額で示される(取引額100万円なら4万円・仮の例)
- お金の預け先:財産の管理方法と預託先=信託先の銀行名が載る
- 注文の流し先:カバー先はJFXが1社、DMM FXが15社(2026年9月21日取得)。ただしカバー先とお客さんに契約関係はない(DMM FXの書面の記載)。請求の相手は契約した業者
- 揉めたときの窓口:JFXもDMM FXもFINMAC。FXの契約はクーリング・オフの対象外
- この決まりは日本の登録業者の義務。XMTradingの規約にカバー先の開示があるかは未確認
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国内の登録業者を併用する、という選び方
このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。
- MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)

- 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。
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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。
出典・注記
- 金融商品取引法 第37条の3、第205条第12号、および附則(令和5年11月29日法律第79号)第1条第4号(e-Gov法令APIで取得・2026年9月21日)
- 金融商品取引業等に関する内閣府令 第79条、第82条、第93条、第94条(e-Gov法令APIで取得・2026年9月21日)。本文の項目は各号の要旨です
- 本文と条文の対応:契約の前の情報の提供=金融商品取引法37条の3第1項(法律が直接並べる7つ=1号〜7号。7号が「内閣府令で定める事項」)/理解されるための説明=同条第2項(2025年4月1日から)/罰則(情報の提供をせず、または虚偽の情報の提供をしたとき・併科あり)=同法205条12号/取引報告書・取引残高報告書=同法37条の4/クーリング・オフ(書面による解除)=同法37条の6/提供の方法=内閣府令79条(見出しは「契約締結前の情報の提供」)/共通15項目=内閣府令82条(見出しは「契約締結前交付書面の共通記載事項」のまま。損失が生じる指標と理由・元本超過損が生じる指標と理由=3号・4号、業者その他の者の業務・財産の状況の変化による損失のおそれと理由=5号・6号、税金の概要=7号、クーリング・オフの適用の有無=9号、業者の概要・業務の内容と方法の概要=11号・12号、金融商品取引業協会=14号、指定紛争解決機関=15号)/デリバティブの7項目=内閣府令93条(債務の履行の方法と決済の方法=2号、証拠金=4号、手数料等の徴収方法=5号、主要な用語と基礎的な事項=7号)/店頭デリバティブの4項目=内閣府令94条1項(カバー取引の相手方=1号、媒介・取次ぎ・代理の相手方=2号、禁止行為=3号、法43条の2・43条の3にもとづく財産の管理方法と預託先=4号)
- 金融庁「金融商品取引契約に係る顧客交付書面のデジタル化について」(令和7年2月20日付・2026年9月21日閲覧)。施行日(令和7年4月1日)と改正の趣旨は同ページによる
- JFX株式会社「店頭外国為替証拠金取引に関する事前説明書(MATRIXTRADERのお客様用)」および「取引説明書」「リスク説明書」(2026年9月21日取得)。カバー取引の相手方とマリー取引に関する記載は同書面による。書面の名乗りは「本説明書は、金融商品取引法第37条の3の規定に基づき……書面を交付することが義務付けられている契約締結前交付書面です」
- 株式会社DMM.com証券「店頭外国為替証拠金取引説明書(DMM FX)(金融商品取引法第37条の3の規定による契約締結前交付書面)」(2026年9月21日取得)。カバー取引の相手方15社と監督当局の表記、カバー先との契約関係に関する記載は同書面による。社名の表記は書面のとおりです
- DMM FXの書面に載っていたカバー取引の相手方15社と監督当局(書面の表記のまま):OCBC Securities Private Limited、KGI Securities (Singapore) Pte. Ltd.(シンガポール金融管理局)/Stratos Markets Limited、XTX Markets Limited(英金融行為規制機構)/Morgan Stanley & Co. International plc、Goldman Sachs International、State Street Bank and Trust Company、ノムラ・インターナショナル・PLC、Standard Chartered Bank、NatWest Markets PLC(英金融行為規制機構、英健全性規制機構)/BNP Paribas SA(フランス金融市場庁)/Commerz Bank AG(ドイツ連邦金融監督庁)/Australia and New Zealand Banking Group Limited(オーストラリア健全性規制庁)/Wells Fargo Bank, N.A(米通貨監督庁、米連邦準備制度理事会)/三井住友銀行(日本金融庁)
- カバー取引の相手方は書面の改訂で変わります。最新の内容は各社の書面でご確認ください
- 取引額100万円・必要証拠金4万円(4%の単純計算)、証拠金10万円は仮の例です
- 電子交付の同意の取り方、書面の改訂履歴、XMTradingの規約にカバー取引の開示条項があるかどうかは、本記事では確認していません
- 本記事には、当サイトが広告を掲載している業者(JFX株式会社・株式会社DMM.com証券・XMTrading)が含まれます。記載は各社の公表資料によるものです
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