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SNSで有料の「シグナル配信」や「EA」をすすめられて、買っていいのか迷っていませんか。シグナル配信は、FXの売買のタイミングを有料で配るサービスです。EAは、FXの自動売買プログラムのことです。
では、売る側に国の登録(投資助言・代理業)は要るのでしょうか。EAの販売も含めて、法律と金融庁・財務局の説明から、買う側の目線で見ていきます。
結論を先に書きます。有料でFXの売買の中身や時期を助言する契約は「投資顧問契約」で、仕事として行うには登録が要ります。月3,000円(仮の例)で売買のタイミングを送る配信も、本記事の当てはめではこの形です。本のように誰でもいつでも買える形なら不要で、EAは売り切りか会員制かで分かれます。
買う前に確かめたいのは、売り手の登録、売り方、お金や判断を預けさせないか、の3つです。順に見ていきます。
有料のシグナル配信に登録は要るの?

法律では、助言を約束し、相手が報酬を払うと約束する契約を「投資顧問契約」といいます。
助言の中身は「投資判断」です。法律の言葉では「行うべきデリバティブ取引の内容及び時期についての判断」を含みます。かみくだくと、どの取引を、いつするかの判断です。
通貨は、法律の上で「金融商品」の1つです。FXがデリバティブ取引に当たることは、デリバティブ取引の定義の記事で説明しています。
| 法律の要件 | シグナル配信に当てはめると |
|---|---|
| 助言の中身(取引の内容と時期の判断) | どの通貨ペアを、いつ売買・決済するか |
| 助言の方法(口頭・文書など) | メール・チャット・アプリの通知など |
| 対価(報酬を払う約束) | 有料会員の料金など |
表の右の列は、本記事の当てはめです。「シグナル配信」という言葉で登録が要るかを判断した公的な文書は、見つかりませんでした。
これを業として(仕事として)行うのが「投資助言・代理業」です。登録を受けた者でなければ、行えません。
登録は、個人でも法人でも受けられます。特定の国家資格は要りませんが、知識と経験が十分な人の確保が要ります(関東財務局の説明)。
金融庁の無登録業者リストにも、例が載っています(令和8年2月掲載)。店頭デリバティブ取引の助言で、お客さんから報酬を受けていたものです。店頭デリバティブ取引は、取引所を通さず業者を相手にする、FXなどの取引です。
やること:有料の配信をすすめられたら、まず売り手の登録を確かめる(確かめ方は後の節で)。
本や公開ページなら登録はいらない?

投資顧問契約には、法律で外されているものがあります。新聞・雑誌・本のように、誰にでも売るために出され、誰でもいつでも買えるものです。
法律の言葉では「不特定多数の者により随時に購入可能なもの」です。
金融庁の監督指針(役所が業者を監督するときの考え方をまとめた文書)も、同じ考え方です。ただし、次の場合は登録が必要だと明記しています。
- ネットで、一人ひとりに向けた性格の強い情報(個別・相対性の高い情報)を届ける場合
- 会員登録しないと買えない(1回だけの購入を受け付けない)場合
| 配り方 | 登録 | だれの説明 |
|---|---|---|
| 書店などで誰でも買える本・雑誌 | 不要 | 法律 |
| 会員登録なしで見られる公開ページ | 不要と考えられる(個別に判断) | 関東財務局のQ&A |
| 会員登録しないと買えない(1回だけの購入はできない) | 必要 | 金融庁の監督指針 |
| 会員登録は無料でも、情報を得るのに報酬が要る | 必要と考えられる | 金融庁の意見募集(パブリックコメント)への回答(2007年) |
通貨のように、有価証券(株など)ではない金融商品もあります。この場合、報酬を払う契約がなければ、投資助言業に当たりません(監督指針の注)。
ただし監督指針は、登録が要るかは一連の行為全体で判断する、とも書いています。一部だけを取り出して、すぐに「不要」とするのは適切でない、という考え方です。
たとえば「会員登録は無料、でも売買の情報を見るには月3,000円」(仮の例)なら、表の4行目の形です。
やること:「無料」「公開」と書いてあっても、どこかでお金を払う流れになっていないか、全体を見て確かめる。
EAの販売やレンタルはどうなの?

EAのようなソフトの販売について、監督指針は例を挙げています。「投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売」です。
店頭やダウンロードで、誰でもいつでも、機能を見て判断して買える状態なら、登録不要の例とされています。ただし、使うのに続けてデータやサポートを受ける必要があるなら、登録が必要となる場合がある、と注記しています。
北海道・東北財務局は、株やFXを自動で行うソフトについて説明しています。会員制で販売・レンタルする行為は、一般的には投資助言・代理業に当たる、としています。会員が新しい会員を勧誘することも、投資助言・代理業と考えられるとしています。
| EAの売り方 | 登録 |
|---|---|
| 誰でもいつでもダウンロードで買える売り切り | 不要の例 |
| 使うのに続けてデータやサポートが要る | 必要となる場合がある |
| 会員制での販売・レンタル | 一般的に投資助言・代理業(登録が要る) |
| 会員が新しい会員を勧誘する | これも投資助言・代理業と考えられる |
仮の例で比べます。1本1万円で、誰でもいつでもダウンロードで買える売り切りのEAがあるとします。続けてデータやサポートを受けなくても使えるなら、監督指針の「登録不要の例」の形です。
同じEAを、月5,000円の会員制で貸すなら(仮の例)、一般的に登録が要る形です。なお、個人がEAを数本売る程度で「業として」に当たるかは、本記事では確認していません。
消費者庁は2023年7月、ある個人事業者に、取引等停止命令(15か月)などを出しました。取引等停止命令は、取引などを止める命令です。
EAを作るソフトに関わるサービスを、連鎖販売(いわゆるマルチ商法)などで売っていた事業者です。これは登録の話とは別の法律、特定商取引法による処分です。
やること:EAを買う前に、売り切りか、会員制・月額か、使い続けるのにデータやサポートが要るかを確かめる。
「運用を任せて」と言われたら?

売買の判断そのものを、相手に任せる形もあります。投資の判断を任せ、そのために必要な権限も渡す契約を「投資一任契約」といいます。
この運用をする仕事は「投資運用業」です。取締役会などを置く株式会社でないと、原則として登録を断られます。また、この契約を結ぶ仲立ち(媒介)も、投資助言・代理業に当たります。
2019年の事案を見てみます。為替の自動売買システムを売り、運用会社に判断と権限を任せる規約に同意させていたものです。名古屋地裁が7月31日に命令を出しています。
証券取引等監視委員会(監視委)は、市場のルール違反を調べる国の委員会です。監視委は、お客さんが取引の時期・内容を指示・選択する余地はないと指摘しました。プログラムが決めたとおりに取引される、という指摘です。
監視委は、少なくとも613名に約5億3000万円を払わせていた、としています。システムを売り、運用を任せる規約に同意させた行為が、投資一任契約の媒介(投資助言・代理業)とされました。
金融庁の無登録業者リストには、こんな情報が寄せられた業者もいます(2015年3月掲載)。ソフトを買った後に、投資判断を任せる書面を求められた、というものです。書面の名前は「LIMITED POWER OF ATTORNEY」です。
やること:「判断を任せる」書面や規約への同意を求められたら、同意する前に、相手の登録を確かめる。
助言業者にお金を預けていいの?

買う側にとって大事な決まりがあります。投資助言の仕事では、お客さんのお金や有価証券を原則として預かれません。法律は「いかなる名目によるかを問わず」と書いています。
仮の例で言えば、「運用資金として30万円を送って」と言われる場面です。名目が何であっても、助言の業者は原則として、こうしたお金を預かれない決まりです。
2018年には、こんな事案もありました。FXの自動売買ソフトを売り、実在しない海外FX業者を紹介して、売り手側の口座へ送金させていたものです。東京地裁が3月29日に命令を出しています。
この事案は、店頭デリバティブ取引の媒介(第一種金融商品取引業)とされました。投資助言・代理業とは、別の種類の業です。
やること:助言の業者に「お金を預けて」と言われたら、払う前に手を止める(原則として預かれない決まり)。売り手側の口座へ送るよう言われたときも、払う前に登録を確かめる。
無登録の売り手だと何が困るの?

登録を受けた投資助言・代理業者には、法律の決まりがかかります。たとえば次のものです。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 登録免許税(登録のときに国に納める税) | 15万円 |
| 営業保証金 | 500万円を供託(決められた所に預けること)し、届け出てから業務を始める |
| お金の預かり | お客さんのお金・有価証券を、原則として預かれない(前の節) |
| 書面による解除 | 投資顧問契約は、成立時の書面などを受け取った日から10日、解除できる |
このうち10日の解除は、登録を受けた業者(金融商品取引業者等)と契約したお客さんが対象です。無登録の売り手との契約には、条文の上ではかかりません(FXのクーリング・オフの記事)。
無登録の売り手に払った代金を取り戻せるかは、本記事では確認していません。
無登録で営業した側には、罰則があります。金融庁の発表(令和8年7月29日)のとおり、罰則の引上げは2026年8月12日に施行されました。同じ日から、監視委の犯則調査(罰則に当たる疑いを調べる調査)の対象にもなりました。
| だれに | 8月11日まで | 8月12日から |
|---|---|---|
| 行為をした人 | 5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金(両方もあり) | 10年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(両方もあり) |
| 法人 | 5億円以下の罰金 | 7億円以下の罰金 |
| 監視委の犯則調査 | 対象外 | 対象 |
拘禁刑は、刑事施設に入れられる刑です。「両方もあり」は、拘禁刑と罰金の両方が科されること(併科)もある、という意味です。8月12日より後の告発の例は、本記事では確認していません。
売り手の登録は、金融庁や財務局のサイトで確かめられます(登録業者一覧の記事・無登録業者一覧の記事)。
やること:申し込む前に、登録業者の一覧で売り手の名前を探し、無登録業者の一覧に載っていないかも見る。
まとめ

- 有料で、FXの売買の中身や時期を助言する契約は投資顧問契約。業として行うには投資助言・代理業の登録が要る
- 本・雑誌のように誰でもいつでも買える形なら不要。会員登録しないと買えない形は必要。要るかは一連の行為全体で判断する
- EAは誰でもいつでも買える売り切りなら不要の例(続けてデータやサポートが要るなら、必要となる場合も)。会員制の販売・レンタルは一般的に投資助言・代理業
- 判断を任せる仕組みは投資一任契約。その仲立ち(媒介)も投資助言・代理業
- 助言の業者はお客さんのお金を原則として預かれない。投資顧問契約は書面を受け取った日から10日は解除できるが、無登録の売り手との契約には条文の上ではかからない
- 無登録の罰則は2026年8月12日から10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、法人は7億円以下
- 買う前に確かめる3つ=売り手の登録・売り切りか会員制か・お金や判断を預けさせないか
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国内の登録業者を併用する、という選び方
このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。
- MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)

- 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。
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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。
出典・注記
- 金融商品取引法 第2条・第28条・第29条・第29条の4・第31条の2・第37条の6・第41条の4・第197条・第197条の2・第207条、同施行令 第15条の12・第16条の3・第45条(e-Gov法令APIで2026年9月28日取得。8月12日施行の版。改正前は7月22日・8月11日時点の版)
- 金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(令和8年8月)Ⅶ-3-1(2)、同 パブリックコメント回答(平成19年7月31日)No.222、同 報道発表(令和8年7月29日)、同 無登録業者の名称等の公表(令和8年9月25日更新)(2026年9月28日取得)
- 関東財務局「登録に係るQ&A(投資助言・代理業)」、北海道・東北財務局の自動売買ソフトの注意喚起(掲載日の表示なし)、監視委の報道発表(平成30年3月、令和元年6月・7月)、消費者庁の報道発表(令和5年7月13日)(いずれも2026年9月28日取得)
- 本文と出典の対応:投資顧問契約=金融商品取引法2条8項11号(助言の中身は同号ロ、通貨は2条24項3号、本・雑誌などの除外は同号かっこ書き)/投資助言・代理業=28条3項1号、登録=29条/投資一任契約=2条8項12号ロ、投資運用業の登録拒否=29条の4第1項5号イ、契約の締結の媒介=2条8項13号・28条3項2号/営業保証金=31条の2・同施行令15条の12/お金の預かりの禁止=41条の4/書面による解除=37条の6第1項・同施行令16条の3/無登録の罰則=197条1項4号の3(8月11日までは197条の2第1項10号の4)、法人=207条1項1号、犯則調査=同施行令45条1号
- 監督指針と財務局の説明の対応:本・会員制の考え方=監督指針Ⅶ-3-1(2)②イ/ソフトの販売=同②イb(継続的なデータやサポートは同じ箇所の注)/報酬の契約がない場合=同②イcの注/個人・法人で登録できること・人の確保=関東財務局Q&A A5・A6、登録免許税=同A8、公開ページ=同A13/無料会員でも情報に報酬が要る場合=パブリックコメント回答No.222(2007年)/会員制の販売・レンタルと会員の勧誘=北海道・東北財務局/2018年の事案(東京地裁3月29日)と2019年の事案(名古屋地裁7月31日・613名・約5億3000万円)=監視委の報道発表
- 「EA」「シグナル配信」という言葉で登録の要否を判断した公的な文書は見つかりませんでした。表の当てはめは、条文と監督指針の文言によります
- 個人がEAを数本売る程度で「業として」に当たるか、無登録の売り手に払った代金を取り戻せるか、FX業者のコピートレードの扱い、8月12日以降の告発例は、本記事では確認していません
- 月3,000円・1本1万円・月5,000円・30万円は、説明のための仮の例です
本記事は法令の一般的な解説であり、法的助言や、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。個別の事案は、財務局や専門家にご相談ください。記載は執筆時点の公開情報に基づきます。
