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「2026年12月に、国内銀行送金が使えなくなる」。海外FXなど、海外の業者で取引する人のあいだで、こんな話が広がっています。もとは、2025年(令和7年)成立の改正資金決済法と、その経過措置(切り替えの猶予)です。
結論を先に書きます。「12月で国内銀行送金が終わり」は正確ではありません。2026年12月1日ごろに止まるのは、登録を申請しない「中継ぎ役」(収納代行業者)の経路です。期限内に登録を申請した中継ぎ役は、最長で2028年6月ごろまで続く可能性があります。
国内銀行送金は、どこへ振り込んでいる?

海外業者への「国内銀行送金」は、海外の口座へ直接振り込んでいるわけではありません。振込先は、国内にある「収納代行業者」の口座です。収納代行業者とは、お金を受け取って相手に渡す「中継ぎ役」のことです。
仮の例で見てみます。国内銀行送金で10万円を入金すると、10万円はまず国内の中継ぎ役の口座に入ります。そこから海外の業者へ渡るしくみです。
日本の銀行から国内の口座へ振り込む形なので、手数料が安く、着金も速くなります。この便利さは、中継ぎをはさむしくみから来ています。
今回の規制がかかるのは、まさにこの中継ぎ役です。だから、クレジットカードや暗号資産(ビットコインなど)での入出金とは、影響の受け方が違います。
オンラインウォレット(ネット上のお財布サービス)の一部も、国内銀行送金の部分で収納代行を使っています。そのため、同じ影響を受ける可能性があります。
やること:自分の入金が国内銀行送金かどうかを、入金の履歴で確かめておく。
規制されるのは私?それとも業者?

今回の改正で規制されるのは、国をまたいでお金を受け渡す「クロスボーダー収納代行」の事業者です。海外の取引業者そのものでも、そこを使う個人でもありません。
改正法は、国をまたいでお金を動かす収納代行を、原則として「為替取引」として扱います。国内から国外へ、国外から国内へ、どちらの向きも同じです。為替取引とは、離れた相手へ、現金を運ばずにお金を届けることです。
為替取引を仕事にするには、「資金移動業」の登録が要ります。資金移動業とは、銀行以外の会社が送金を仕事にすることです。だから、登録しないままでは続けられなくなる、というしくみです。
中継ぎが2段階以上になっていても、対象に含まれます。一方で、リスクが低いとされる次の4つは、国の細かいルール(内閣府令)で対象から外されています。
- プラットフォーマー(ネット上で売り買いの場を運営する会社)など、お金を払う理由になる取引(金銭債権の発生原因)の成立に関わる場合
- エスクローサービス(取引が終わるまで代金を預かるしくみ)
- 受け取る人と、経済的に一体と認められる場合
- ほかの法律がルールを決めている分野での行為
条文までたどった解説は、収納代行が「為替取引」になった日にまとめています。
やること:見るべきは自分の立場ではなく、自分のお金が通る「中継ぎ役」だと押さえておく。
2026年12月に何が止まるの?

新しいルールが効き始める日(施行日)は、2026年(令和8年)6月1日です。関係する政令は、同じ年の5月19日に閣議決定され、5月22日に公布されました。
そのうえで、改正法には切り替えのための猶予(経過措置)があります。ここが2段構えになっています。
| いつ | だれが | どうなる |
|---|---|---|
| 2026年6月1日 | すべて | 新しいルールが始まる(施行日) |
| 2026年12月1日ごろ(施行日から6か月) | 登録を申請しない中継ぎ役 | 登録なしのまま続けられるのは、ここまで |
| 2028年6月ごろ(施行日から2年) | 6か月のうちに登録を申請した中継ぎ役 | 申請への処分(結論)が出るまで、最長でここまで続けられる |
つまり12月1日ごろは、「登録なしのまま続けられる期限」です。すべての収納代行が止まる日ではありません。
逆に言えば、登録を申請しない中継ぎ役の経路は、12月で止まります。どの経路がどちらなのかは、外からは見えません。ここが、実務の上でいちばん分からないところです。
この2段構えを取り違えると、慌てなくてよい場面で、お金を動かすことになりかねません。
やること:「12月1日ごろ」と「2028年6月ごろ」の2つをメモし、使っている業者の案内を確かめる。
XMなどの業者はどう対応している?

第三者のメディア「Myforex」が、2026年7月6日時点で主要10社を調べています。対応は、業者によって分かれていました。
| 対応 | 業者(2026年7月6日時点) |
|---|---|
| 国内銀行送金を停止済み | Milton Markets |
| 入金履歴をリセット | XMTrading(1回限りの特別措置)/Axi(暗号資産での出金も可能に) |
| 出金方法の変更を個別に相談 | XS.com |
| 「入金時と同じ方法で出金する」原則を維持 | Exness/FXGT/ThreeTrader/Titan FX |
同じ記事によると、7月の時点では、多くの業者が国内銀行送金を続けていました。影響が本格的になるのは、猶予が終わる2026年末ごろと見られています。
では、「入金履歴のリセット」とは何でしょう。多くの業者には、入金と同じ方法でしか出金させないルールがあります。国内銀行送金で入れたお金は、国内銀行送金でしか出せない、という形です。
仮の例です。このルールの業者に、国内銀行送金で10万円を入れたとします。そのまま経路が止まると、その10万円は出口を失ってしまいます。
リセットは、この「入金と出金のひも付け」を外す措置です。
やること:自分の業者がどの対応か、業者の案内で確かめる(表は2026年7月6日時点)。
自分の口座では何を確かめればいい?

とくに気をつけたいのは、海外業者で個別株CFDをしている人です。個別株CFDとは、株の値動きの差額をやり取りする取引です。この場合、「入金が面倒になる」だけでは終わりません。
含み益(まだ確定していない利益)を確定させても、引き出せない期間が生まれうるからです。ポジション(まだ決済していない取引)を持ったまま、出金の経路が細った場合の話です。
判断の材料として、少なくとも次の3つは、自分の口座で確かめられます。
- いま、どの方法で入金しているか(国内銀行送金か、カードか、暗号資産か)
- その業者の出金ルールが「入金と同じ方法」に縛られているか
- まだ出金していない元本(自分が入れたお金)がいくら残っているか(負け越していると、出金できる枠そのものが小さい)
仮の例で書き出すと、「入金=国内銀行送金/出金=入金と同じ方法だけ/残っている元本=10万円」のようになります。この形なら、国内銀行送金の経路がどうなるかが、そのまま出口に関わります。
1つ目の「入金の方法」は、経路ごとに影響の受け方が違います。
| 入金の方法 | 今回のルールとの関係 |
|---|---|
| 国内銀行送金 | 国内の中継ぎ役(収納代行業者)を通るので、直接影響を受ける |
| オンラインウォレット | ウォレットへの入金に国内銀行送金を使っていれば、同じように影響を受ける |
| クレジットカード・デビットカード | 中継ぎ役を通らない(国際ブランドのカードの決済網を使う) |
| 暗号資産 | 中継ぎ役を通らない |
3つ目の「残っている元本」は、正しくは入金した額のうち、まだ入金元へ戻していない分です。入金と同じ方法でしか出せない業者では、経路が止まると、この分が出しにくくなります。
この額は、負け越している口座ほど大きく残ります。利益が出ている口座は、入金した額をすでに戻し終えていることが多く、それを超える分は比較的自由な経路で出せます。
そのうえで、暗号資産での送金に対応しているか、複数の経路を持っているかを見ておくことになります。どう動くかは各自の判断です。当サイトは特定の行動を推奨しません。
ただし、暗号資産で出すのが、いつも有利とは限りません。次のコストと危険があります。
- 国内の取引所から送るときの送金手数料と、ネットワーク手数料
- 送っている間の値動き(ステーブルコインでも、為替とずれることがある)
- アドレスやネットワークの選びまちがい(取り違えると、お金が戻らない)
- 国内の取引所で売るときに、別に損益の計算が要ることがある
出金の経路を変えるのは、かかるコストの種類を変えることでもあります。どちらがよいかは、残高と出金の回数で変わります。
やること:上の3つを、自分の口座の画面を見ながら書き出しておく。
海外の業者を使うのは違法なの?

混同されやすい点です。金融庁は「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」という一覧を出しています。いわゆる「金融庁の無登録業者一覧」です。
2026年(令和8年)8月27日更新版には、次の会社が載っています。Tradexfin Limited(サービス名 XMTRADING、XMTrading)です。2020年(令和2年)8月21日付の警告です。記載は「インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの」です。
店頭デリバティブ取引とは、取引所を通さず、業者を相手にするFXなどの取引のことです。
これは、無登録で勧誘を行った業者に対する警告です。日本に住む人がその業者を使うこと自体を、禁じるものではありません。
ただし、登録業者なら適用される投資者保護のしくみの外にいる、という事実は変わりません。トラブルが起きたときに、国内の制度で救済される保証はありません。その前提で使うことになります。
「違法ではない」は入口の話で、「保護がない」はその先もずっと続きます。無登録営業の条文が向いている相手(名宛人)は業者です。利用者を罰する規定は、そこにはありません。
税金にも、よくある誤解があります。「出金しなければ、税金はかからない」は誤りです。
国税庁の説明では、税金の対象は「差金等決済により生じた損益」です。取引を決済した時点で、損益が決まります。海外の口座に置いたままでも、出金していなくても、変わりません。
海外業者との取引は、税金の扱いも別枠です。くわしくは次の記事に書きました。
- 金融庁「無登録業者」一覧の読み方(一覧に載ることが何を意味し、何を意味しないか)
- XMの運営会社と規制当局(契約の相手は「XM」ではなく Tradexfin Limited/Fintrade Limited)
- 無登録営業の条文と罰則(条文のしくみ)
- なぜ海外業者の損益だけ総合課税なのか(国税庁タックスアンサーの注記から、税の線の位置を確認)
やること:トラブルのとき国内の制度で救済される保証はない、という前提を、使う前に知っておく。
まとめ

- 規制されるのは中継ぎ役の収納代行業者。海外の業者でも、利用者でもない
- 新しいルールの始まり(施行日)は2026年6月1日
- 2026年12月1日ごろは「登録なしで続けられる期限」。期限内に登録を申請した中継ぎ役は最長2028年6月ごろまで続く可能性がある
- 影響が出るのは主に国内銀行送金の経路。カードや暗号資産とは影響の受け方が違う
- 出金が「入金と同じ方法」に縛られている業者では、経路が止まると出口を失う。だから一部の業者で入金履歴のリセットが行われている
- 自分の口座で確かめるのは3つ=入金の方法・出金のルール・残っている元本(まだ入金元へ戻していない入金額。負け越しているほど大きい)
- 暗号資産で出すと、コストの種類が変わる。いつも有利とは限らない
- 税金は取引を決済したときに決まる。出金したかどうかとは関係ない
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国内の登録業者を併用する、という選び方
このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。
- MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)

- 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。
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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。
出典・注記
- 金融庁「令和7年資金決済法改正に係る政令の公布及びパブリックコメントの結果等について」(令和8年5月22日公布・6月1日施行)
- 改正法附則2条(経過措置。6か月+登録申請中は施行日から2年まで)
- 資金決済法第2条の2(一定の収納代行は為替取引に該当)、第37条(資金移動業の登録)。e-Gov法令検索で読めます。適用除外の類型は内閣府令によります
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」(令和8年8月27日更新)
- Myforex「主要海外FX業者の規制への対応状況まとめ」(2026年7月6日時点の調査)
- 国税庁 タックスアンサー No.1521「外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」
- 文中の金額(10万円)は、説明のための仮の例です
本記事は制度の一般的な解説であり、投資判断や特定の取引を勧誘するものではありません。法令の解釈・適用については、必要に応じて専門家にご確認ください。記載は執筆時点の情報に基づきます。
