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「FX業者に業務改善命令」というニュースを見て、どれくらい重い処分なのか気になっていませんか。業務改善命令は、金融庁などが出す行政処分(役所が法律にもとづいて業者に出す命令など)の1つです。業務停止命令や登録取消しと比べて、その重さを見ていきます。
結論を先に書きます。業務改善命令は、業務の方法を変えるなど「直すための措置」をとるよう命じる処分です。それより重いのが、6か月以内の業務停止と、登録の取消しです。処分は原則としてすべて公表され、「行政処分事例集」で業者名から調べられます。
業務改善命令ってどれくらい重い?

先に答えると、業務改善命令は、このあと見る業務停止や登録取消しより軽い処分です。まず、どんな命令かを見ます。
業務改善命令は、業者の業務の運営や財産の状況について出せる命令です。条件は、公益(世の中全体の利益)や投資者保護のために、必要でふさわしい(適当)と認めるときです。命じることができるのは、必要な範囲までです。
命じる中身は、業務の方法の変更など、改善に必要な措置です。法律の書き方は「命じることができる」です。問題があれば自動的に出る、というものではありません。
金融庁は、処分にあたって業務改善計画(どう直すかの計画)の提出を求める理由を説明しています。業者が自分で態勢(社内のしくみ)を直し、その効果が将来も続くことを期待するためです。
処分そのものが目的ではありません。改善の取り組みをフォローアップ(その後も見ていくこと)する、という書き方です。
数でも見てみます。国内のFX業者や証券会社は、「第一種金融商品取引業者」という登録の区分に入ります。この区分への処分では、業務改善命令がいちばん多い処分です。
令和8年6月30日時点の行政処分事例集では、この区分を含む処分が476件あります。そのうち277件が業務改善命令です。
やること:業務改善命令のニュースを見たら、何が問題とされたのか(処分の原因)を読む。
業務停止や登録取消しはどんなとき?

業務改善命令より重い処分が、登録の取消しと6か月以内の業務の停止です。停止は、業務の全部のことも、一部のこともあります。
法律では、業者が次のどれかに当たるとき、このどちらかを命じることができます。主なものを抜き出します。
- 登録を拒否される理由(登録を受けられない決まった理由)に当たるようになった
- 不正の手段で登録を受けた
- 業務について、法令や行政処分に違反した
- 業務や財産の状況から、支払不能(お金を払えなくなること)に陥るおそれがある
- 不正や著しく不当な行為をして、情状(そうなった事情)が特に重い
ほかにも命令があります。役員が欠格事由(役員になれない決まった理由)に当たったときや、法令違反などのときです。業者に、その役員の解任(やめさせること)を命じることができます。
業者の所在が分からないときの決まりもあります。公告(広く知らせること)から30日たっても申出がなければ、登録を取り消すことができます。
業務を始めないときや、休んだときの決まりもあります。業務を行えるようになってから3か月以内に、正当な理由なく始めないときは、登録を取り消すことができます。正当な理由なく3か月以上続けて業務を休んだときも同じです。
登録を取り消されたときや、業者が自分から業務をやめるときの話は別の記事です。建玉(まだ決済していない取引)と証拠金がどうなるかを書きました(FX業者がやめたときの記事)。
やること:処分のニュースでは、改善命令か、業務停止か、登録取消しかを、まず見分ける。
業者の財務が悪くなったら?

第一種金融商品取引業者には、財務の数字で段階的に命令を出せるしくみもあります。使う数字は自己資本規制比率(業者のお金の余力を、抱えているリスクと比べた割合)です。くわしくは自己資本規制比率の記事で書きました。
| 自己資本規制比率 | 命じることができること |
|---|---|
| 120%を下回る | 業務の方法の変更、財産の供託(決まった所に財産を預けること)など、監督に必要なこと |
| 100%を下回る | 3か月以内の業務の全部または一部の停止 |
| 停止から3か月たっても100%未満で、回復の見込みがない | 登録の取消し |
120%を下回った段階で命じることができるのは、業務の方法の変更などです。まだ業務停止ではありません。
仮の例で見てみます。比率が110%の業者なら、120%を下回っているので1段目です。95%なら、100%も下回っているので、停止を命じることができる段階です(どちらも仮の例)。
やること:自己資本規制比率の数字を見たら、120%と100%の2本の線と比べてみる。
処分の重さは何で決まるの?

処分の中身を決めるときに確かめる点を、金融庁が文書で挙げています。文書の名前は「金融上の行政処分について」です。大きく分けると次の3つです。
- 行為の重さ・悪質さ(重大性・悪質性):世の中全体への害(公益侵害)や利用者の被害の程度、行為そのものの悪質さ、続いた期間やくり返しを見ます。わざとか不注意か(故意か過失か)、組織ぐるみか、隠したか(隠蔽)、反社会的勢力(暴力団など)との関わりも見ます
- 会社の管理のしくみ(経営管理態勢・業務運営態勢):経営陣の取組み、社内で点検する部門(内部監査やコンプライアンス部門)が機能しているか
- 軽くする方向の事情(軽減事由):役所が動く前に、業者が自分から利用者を守る対応に取り組んでいるか
そのうえで、次の3つを考えて、最終的な処分を決めるとしています。
- 改善を業者の自主性に任せてよいか
- 一定の期間、業務の改善に専念させる必要があるか
- 業務を続けさせてよいか
処分の前には、法律で決まった聴聞または弁明の機会(業者が言い分を述べる場)があります。処分に納得できないときは、不服申立て(見直しを求めること)や取消訴訟(取消しを求める裁判)もできます。
やること:処分の理由では、被害の大きさ・くり返し・隠したか・自分から対応したかを見る。
処分はどこで調べられるの?

金融庁は、行政処分を原則としてすべて公表しています。ほかの金融機関にとって、どんなことで処分されるかの見通し(予測可能性)を高めるためです。同じような問題を防ぐねらいもあります。
例外は、財務の健全性に関する不利益処分など、公表すると経営の改善に支障が出るおそれのあるものです。公表では、原因となった事実関係と、根拠の法令・条文(処分のもとになった法律の決まり)を必ず示す、としています。
公表された処分は、「行政処分事例集」(Excelファイル)にまとめられます。まとめるのは四半期ごと(3か月ごと)です。
平成14年度以降に金融庁と各財務(支)局が出した処分が並びます。年度・業態(業者の種類)・根拠法令・処分の種類・処分の原因などで絞り込めます。
令和8年6月30日時点の事例集を、当サイトで数えました。1行を1つの処分として数えています。
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| 事例集の全体 | 2,819件 |
| 業態に「第一種金融商品取引業者」を含む処分 | 476件 |
| うち業務改善命令 | 277件 |
| うち業務停止命令 | 155件 |
| うち登録取消し | 18件 |
ただし、476件はFX業者だけの数ではありません。国内のFX業者は、証券会社などと同じ「第一種金融商品取引業者」の業態に入ります。そのため、事例集の区分だけでは、476件からFX業者の分を取り出せません。
古い記録もあります。金融商品取引法は2007年9月に施行されました。それより前、店頭FX(取引所を通さないFX)は金融先物取引法の対象でした。
根拠法令が金融先物取引法の処分は、平成16〜20年度に140件あります。そのうち116件は、平成17年度(2005年4月〜2006年3月)です。
2005年7月の改正で、一般の顧客を相手にする店頭金融先物取引(店頭FXなど)が、この法律の対象に加わりました。平成17年度は、その改正と重なる年度です(金融先物取引業協会の記事)。
やること:気になる業者があれば、行政処分事例集を開いて業者名で探してみる。
自分の使う業者はどう確かめる?

業者を確かめるときは、次の3つを順に見ます。
- 金融庁の登録業者一覧で、登録があるかを見る(登録業者一覧の記事)
- 行政処分事例集で業者名を検索し、過去の処分を見る。処分の原因と根拠法令も書かれている
- 金融先物取引業協会の「会員の処分」も見る。行政処分とは別の、協会の規則による処分が載る
日本の登録を受けていない海外業者は、そもそも「金融商品取引業者」ではありません。そのため、業務改善命令や、業務停止・登録取消しの処分の対象になりません。
金融庁は、無登録業者には警告書を送り、その名称を公表しています(無登録業者一覧の記事)。
やること:口座を作る前に、この3つを順に見ておく。処分があれば、その原因も読んでおく。
まとめ

- 業務改善命令は、業務の方法の変更など「直すための措置」を命じる処分。金融庁は業務改善計画の提出を求め、改善の取り組みをフォローアップする
- より重いのが、6か月以内の業務停止(全部または一部)と登録の取消し。法令違反、支払不能のおそれ、情状が特に重い不正などが理由。役員の解任命令もある
- 自己資本規制比率が120%を下回ると業務の方法の変更など、100%を下回ると3か月以内の業務停止、回復しなければ登録取消しを命じることができる
- 処分の重さは、行為の重さ・悪質さ、会社の管理のしくみ、軽くする方向の事情で決まる(金融庁)。処分の前に聴聞・弁明の機会がある
- 処分は原則すべて公表され、行政処分事例集に四半期ごとにまとまる(令和8年6月30日時点で2,819件)
- 第一種金融商品取引業者を含む処分は476件(うち業務改善命令277件)。事例集の区分だけでは、FX業者の分は取り出せない
- 確かめる順は、登録業者一覧→行政処分事例集→協会の会員の処分
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国内の登録業者を併用する、という選び方
このサイトは海外業者の取引条件を扱っていますが、国内の登録業者を併用するという選択もあります。国税庁タックスアンサー No.1521 の原則では、第一種金融商品取引業者または登録金融機関との店頭デリバティブ取引は申告分離課税で、損失を翌年以後3年に繰り越せます。この線がどこに引かれているかは総合課税の記事に書きました。
- MATRIX TRADER(JFX株式会社/関東財務局長(金商)第238号・第一種金融商品取引業)

- 【DMM FX】(株式会社DMM.com証券/関東財務局長(金商)第1629号・第一種および第二種金融商品取引業)

⚠ 実際にどちらの課税区分になるかは、取引の相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関かどうかで決まります。上に書いた2社の登録番号と業務の種別は、金融庁「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年7月31日現在)で確認しました。登録は取り消されることも、業務の種別が変わることもあります。最新は同じ一覧でご自身で確かめてください。また、国内業者には金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジに上限があります。
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XMTradingはTradexfin Limitedのブランドで、セーシェル金融サービス庁の規制を受けており、日本の金融庁の登録は受けていません(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載)。デリバティブ取引には投資元金を失うリスクがあります。
出典・注記
- 金融商品取引法 第51条〜第54条(e-Gov法令APIで取得・2026年9月24日)。51条で命じる者は「内閣総理大臣」と書かれています。本文では、行政処分事例集に金融庁と各財務(支)局が出した処分が並んでいることから、金融庁などが出す処分として書いています
- 本文と条文の対応:業務改善命令=51条/登録取消し・6か月以内の業務停止=52条1項(主なもの。登録を拒否される理由=1号〜5号・29条の4、不正の手段による登録=6号、法令や行政処分への違反=7号、支払不能のおそれ=8号、情状が特に重い不正=10号)/役員の解任命令=52条2項/所在が分からないときの登録取消し=52条4項/自己資本規制比率による命令=53条1項〜3項/業務を始めない・休止したときの登録取消し=54条
- 聴聞・弁明の機会は、行政手続法にもとづくものです
- 金融庁「金融上の行政処分について」(2026年9月24日取得)
- 金融庁「行政処分事例集」(令和8年6月30日時点・Excelファイル)と「『行政処分事例集』の便利な使い方」(2026年9月24日取得)。件数は当サイトが事例集の行を数えたもので、同じ日に同じ業者へ複数の処分が出た場合はそれぞれ1件と数えています。業者名は本記事では挙げていません
- 自己資本規制比率110%・95%は、段階の読み方を示すための仮の例です
- 処分の対象となった個々の事案の内容、財務局ごとの件数は、本記事では確認していません
本記事は法令と公表資料の一般的な解説であり、法的助言や投資判断、特定の業者の利用を勧誘するものではありません。記載は執筆時点の公開情報に基づきます。
