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『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)は、マイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り』を原作にした実話です。住宅バブルの崩壊を先読みし、市場と反対側に賭けた少数の投資家を描いています。
この映画がトレーダーにとって示唆的なのは、彼らが「正しかった」からではありません。正しかったのに、危うく退場させられかけたからです。

正しさが証明されるまでに、2年以上かかっている

マイケル・バーリがサブプライム関連の債券に対するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の契約を結んだのは2005年です。
ところが、2007年に住宅ローンの滞納率が過去最高を記録し、バブル崩壊が誰の目にも明らかになってからも、CDSの価格はすぐには上がりませんでした。本来なら価値が跳ね上がるはずの保険が値上がりせず、含み損だけが膨らみ続けます。決着がついたのは2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻でした。
読みは合っていた。それでも2年以上、含み損と資金の引き揚げ圧力に耐える必要があった。ここがこの話の本体です。
「マーケットは、あなたが支払能力を保っていられる期間よりも長く、不合理であり続けられる」という言葉があります。ケインズの言葉として広く知られていますが、実際に彼が述べた記録は確認されていません(出所不明のまま流通している格言です)。それでも、この映画が描いているのはまさにその状況です。
証拠金取引では、その「時間」をレバレッジが削る

ここからが、個人の証拠金取引に落とせる部分です。
レバレッジを上げると、必要証拠金が小さくなります。同じ資金でより大きな建玉が持てる、という説明がされます。しかし裏側で起きているのは、同じ値動きに対して証拠金維持率が何倍の速さで削られるかという話です。
必要証拠金ちょうどを入れて建てた場合、証拠金維持率は次のように減ります。
証拠金維持率 = 1 -(逆行率 × レバレッジ)
ロスカット水準を20%とすると、耐えられる逆行率は 0.8 ÷ レバレッジ です。数字にするとこうなります。
| レバレッジ | ロスカットまでに耐えられる逆行 |
|---|---|
| 2倍 | 40% |
| 5倍 | 16% |
| 10倍 | 8% |
| 20倍 | 4% |
| 100倍 | 0.8% |
| 500倍 | 0.16% |
※ 必要証拠金ちょうどを入金し、他に建玉がない場合の単純計算です。実際には必要証拠金より多く預ければ余裕は増えますし、ロスカット水準は業者ごとに異なります。スワップや手数料は含めていません。
レバレッジ500倍では、0.16%の逆行で退場します。日経平均が66,000円なら、約100円の逆行です。寄り付き前の気配が動く程度の幅です。
つまり高いレバレッジとは、「読みが当たるまで待てる時間」を手放すことです。バーリが2年以上耐えられたのは、彼が現物のCDS契約で、追証で強制的に閉じられる建て付けではなかったからでもあります。それでも投資家からの解約圧力には晒されました。
自分の口座で確認できること

- ロスカット水準は何%か。XMTradingは全口座タイプで20%と案内されています。国内CFDは業者ごとに異なります
- 実効レバレッジはいくつか。「最大1000倍」は上限であって、実際にかかっているのは「建玉の想定元本 ÷ 預けている資金」です
- いま持っている建玉は、何%の逆行まで耐えられるか。上の式に自分の数字を入れれば出ます
3番目を計算したことがない状態で持っている建玉は、いつ閉じられるか分からないまま持っているのと同じです。どう調整するかは各自の判断で、当サイトは特定の取引を推奨しません。
この映画から持ち帰るもの

相場を描いた作品は、たいてい「読みの鋭さ」を主役にします。しかし実際に生死を分けているのは、読みが証明されるまでの期間を、資金と建玉の大きさで買えていたかどうかです。
レバレッジは「大きく張るための道具」として説明されがちですが、同時に時間を削る道具でもあります。どちらの側面も見たうえで倍率を決める。それがこの映画のいちばん実用的な読み方だと思います。
取引条件の側から見た話は、日経225を取引するならどこかにまとめました。銘柄と証拠金の設計はXMの株式CFDのページでも整理しています。
出典・参考
- 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年公開/原作:マイケル・ルイス『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』)
- 2005年のCDS契約、2007年の滞納率上昇後もCDS価格が上がらなかった経緯、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻については、公開情報にもとづく
- ロスカット水準20%はXMTradingの口座タイプ別取引条件の公開情報による(2026年9月時点)
本記事は作品の紹介と、そこから読み取れる一般的な考え方の解説です。投資判断や特定の取引を勧誘するものではありません。計算例は仕組みを説明するための単純化であり、実際の証拠金・ロスカットの判定は各社の規定によります。記載は執筆時点の情報に基づきます。
