マネー・ショートに学ぶレバレッジ|何%動いたらロスカット?

マネー・ショートに学ぶレバレッジ|何%動いたらロスカット?

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「レバレッジ500倍」と聞いても、何%逆に動いたらロスカットなのかは、ぱっと分かりません。ロスカットとは、損が大きくなったときに、業者が取引を強制的に終わらせることです。映画『マネー・ショート』を入口に、レバレッジとロスカットの関係を数字で見ていきます。

結論を先に書きます。必要証拠金ちょうど・ロスカット水準20%で単純に計算します。耐えられる逆向きの値動きは「0.8 ÷ レバレッジ」で、2倍なら40%、500倍なら0.16%です。日経平均が66,000円なら、0.16%は約100円の動きです。

目次

マネー・ショートはどんな話?

住宅バブルの崩壊を先に読んだ実話の映画を、カチンコとひびの入った家のアイコンで示し、「読みは正しい」の札が崖の手前にあって、それでも退場しかけたことを美咲が問いかけている図

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)は、実話をもとにした映画です。原作は、マイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り』です。

描かれているのは、住宅バブルの崩壊を先に読んだ、少数の投資家です。彼らは市場と反対側に、つまり多くの人とは逆の方向に賭けました。

この映画がトレードの参考になるのは、彼らが「正しかった」からではありません。正しかったのに、危うく退場(相場から強制的に退くこと)させられかけたからです。

やること:この話は「読みが当たったか」より、「当たるまで持ちこたえられたか」に目を向けて読む。

読みが当たっていたのに、なぜ苦しんだ?

2005年の契約、2007年の住宅ローン滞納率の過去最高、2008年9月の決着を3枚の卓上カレンダーと時間の線で並べ、その間の2年以上、含み損の温度計が上がり続けたことを示し、城戸が「そんなに長く待てる?」と問いかけている図

投資家の一人、マイケル・バーリが契約を結んだのは2005年です。サブプライム関連の債券に対する、CDSという契約でした。サブプライム関連の債券とは、返す力が弱い人向けの住宅ローンをもとにした債券です。

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、債券が返されなくなったときに備える、保険のような契約です。

2007年、住宅ローンの滞納率(返済が遅れている割合)が過去最高を記録しました。バブル崩壊は、誰の目にも明らかになります。

ところが、CDSの価格はすぐには上がりませんでした。本来なら価値が跳ね上がるはずの保険が、値上がりしません。含み損(まだ確定していない損)だけが膨らみ続けます。

決着がついたのは、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻でした。読みは合っていました。

それでも2年以上、含み損と資金の引き揚げ圧力に耐える必要があったのです。資金の引き揚げ圧力とは、投資家が預けたお金を引き揚げようとする動きです。

バーリが2年以上耐えられたのは、契約のしくみのおかげでもあります。彼が持っていたのは現物のCDS契約で、追証で強制的に閉じられる形ではありませんでした。追証とは、損が増えたときに追加で求められるお金です。

それでも、投資家からの解約の圧力は受けました。

「マーケットは、あなたが支払能力を保っていられる期間よりも長く、不合理であり続けられる」という格言があります。ケインズの言葉として広く知られています。ただし、実際に彼が述べた記録は確認されていません(出所不明のまま広まっている格言です)。

出所は不明でも、この映画が描いているのは、まさにその状況です。

やること:「読みが当たるか」とは別に、「当たるまで待てるか」を考えておく。

レバレッジを上げると何が変わるの?

2倍・20倍・500倍の3つの砂時計を大・中・小で並べ、倍率を上げると同じ値動きでも証拠金維持率の減る速さが変わり、待てる時間が縮むことを、勝又が小さな砂時計に驚く場面で示した図

ここからが、自分の取引に置きかえられる部分です。レバレッジとは、預けたお金の何倍の金額まで取引できるか、という倍率です。

レバレッジを上げると、必要証拠金(取引を持つために口座に置いておく最低限のお金)が小さくなります。同じ資金で、より大きな建玉(まだ決済していない取引)を持てる、と説明されます。

しかし裏側で起きているのは、同じ値動きで、証拠金維持率が何倍の速さで削られるかという話です。証拠金維持率は、口座のお金が必要証拠金に比べて、どれだけ残っているかの割合です。

なお、レバレッジの上限は、口座の有効証拠金で自動的に区分されます。有効証拠金は、口座の残高に、まだ決済していない取引の損益を足し引きした額です。「最大1000倍」の正体で、$40,000を超えると何が起きるかを整理しました。

やること:レバレッジは「大きく持てる」と「削られるのが速い」の両方で見る。

何%動いたらロスカットになるの?

必要証拠金ちょうど・ロスカット水準20%の単純計算で、耐えられる逆行が2倍は40%、10倍は8%、100倍は0.8%、500倍は0.16%と、崖までの道が短くなっていく4本の道で示し、美咲が問いかける図

必要証拠金ちょうどを入れて建てた場合、証拠金維持率は次の式のように減ります。逆行率は、値段が自分の読みと反対に動いた幅(%)です。

証拠金維持率 = 1 -(逆行率 × レバレッジ)

式の「1」は100%のことです。ちょうどを入れた最初は100%で、逆に動くと「逆行率×レバレッジ」の分だけ減っていきます。

ロスカット水準を20%とすると、100%から20%まで、0.8(80%分)の幅を耐えられます。だから、耐えられる逆行率は「0.8 ÷ レバレッジ」です。

仮の例です。レバレッジ10倍で100万円分を取引し、必要証拠金ちょうどの10万円を入れたとします。

8%逆に動くと、損は8万円です。残りの2万円は10万円の20%なので、ロスカット水準に届きます。

数字にすると、こうなります。

レバレッジロスカットまでに耐えられる逆行
2倍40%
5倍16%
10倍8%
20倍4%
100倍0.8%
500倍0.16%

※ 必要証拠金ちょうどを入金し、ほかに建玉がない場合の単純計算です。スワップ(持ち越しでつく金利の調整)や手数料は、計算に含めていません。

実際には、必要証拠金より多く預ければ余裕は増えます。ロスカット水準も、業者ごとに異なります。

維持率と余剰証拠金の定義そのものは、証拠金維持率と余剰証拠金の読み方に分けて書きました。「あと何%逆行したら終わるか」を、自分の口座の数字で出す手順もそこにあります。

やること:自分が使う倍率を表に当てはめ、何%の逆行でロスカット水準に届くかを見ておく。

500倍だと日経平均で何円の動き?

日経平均66,000円の仮の例で、レバレッジ500倍なら0.16%、約100円の逆行でロスカット水準に届くことを、株価ボードから下向きの矢印と赤いランプで示し、勝又が驚いている図

上の単純計算では、レバレッジ500倍なら、0.16%の逆行で退場します。

日経平均が66,000円だとすると、0.16%は約100円の逆行です。寄り付き前の気配(取引が始まる前に出る値段の目安)が動く程度の幅です。

つまり、高いレバレッジとは、「読みが当たるまで待てる時間」を手放すことです。2倍なら40%まで耐えられた値動きが、500倍では0.16%になります。

相場を描いた作品は、たいてい「読みの鋭さ」を主役にします。しかし実際の分かれ目は、読みが証明されるまでの期間を、資金と建玉の大きさで買えていたかどうかです。

レバレッジは「大きく張るための道具」と説明されがちですが、同時に時間を削る道具でもあります。どちらの側面も見たうえで倍率を決める。それが、この映画のいちばん実用的な読み方だと思います。

やること:%だけで考えず、自分が取引する値段で「何円の動きか」に直してみる。

自分の口座で何を確かめればいい?

スマホの口座画面に、ロスカット水準は何%か、実効レバレッジは何倍か、いまの建玉は何%の逆行まで耐えるかの3つのチェック欄を並べ、横に電卓を置いた佳奈が問いかける図

自分の口座では、次の3つを確かめられます。

  1. ロスカット水準は何%か。XMTradingは全口座タイプで20%と案内されています。国内CFD(国内業者の、値動きの差額をやり取りする取引)は業者ごとに異なります
  2. 実効レバレッジ(実際にかかっている倍率)はいくつか。「最大1000倍」は上限です。実際にかかっているのは「建玉の想定元本(取引している金額)÷ 預けている資金」です
  3. いま持っている建玉は、何%の逆行まで耐えられるか。上の式に自分の数字を入れれば出ます

3番目を計算したことがないまま持っている建玉は、いつ閉じられるか分からないまま持っているのと同じです。どう調整するかは各自の判断で、当サイトは特定の取引を推奨しません。

ゼロカットは、口座の残高がマイナスになった分を請求されないしくみです。「ゼロカットがあるから大丈夫」も、この計算の代わりにはなりません。守られている範囲は、ゼロカットが保証していないことで線を引いています。

取引条件の側から見た話は、日経225を取引するならどこかにまとめました。銘柄と証拠金の設計は、XMの株式CFDのページでも整理しています。

やること:建てる前に、上の3つを自分の口座の数字で確かめ、書き出しておく。

まとめ

低い倍率の大きな砂時計と高い倍率の小さな砂時計を並べ、倍率を上げると待てる時間が減ることを示し、建てる前に何%まで耐えられるか確かめるかを美咲が問いかけている図
  • 『マネー・ショート』のバーリは、読みが正しかったのに苦しんだ。2005年の契約から2008年9月の決着まで、2年以上、含み損と資金の引き揚げ圧力に耐えた
  • 必要証拠金ちょうど・ロスカット水準20%の単純計算では、耐えられる逆行は0.8 ÷ レバレッジ
  • 2倍なら40%、20倍なら4%、500倍なら0.16%。日経平均66,000円なら、0.16%は約100円
  • レバレッジは大きく張る道具であると同時に、待てる時間を削る道具。両方を見たうえで倍率を決める
  • ロスカット水準は業者ごとに異なる。必要証拠金より多く預ければ、余裕は増える
  • 口座で確かめるのは3つ=ロスカット水準・実効レバレッジ・いまの建玉が何%の逆行まで耐えられるか

出典・注記

  • 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年公開/原作:マイケル・ルイス『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』)
  • 2005年のCDS契約、2007年の滞納率上昇後もCDS価格が上がらなかった経緯、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻については、公開情報にもとづく
  • ロスカット水準20%はXMTradingの口座タイプ別取引条件の公開情報による(2026年9月時点)
  • 「マーケットは、あなたが支払能力を保っていられる期間よりも長く、不合理であり続けられる」は、ケインズが実際に述べた記録が確認されていない格言です(出所不明)
  • 耐えられる逆行の計算は、必要証拠金ちょうどを入金し、ほかに建玉がない場合の単純計算です。文中の100万円・10万円・日経平均66,000円は、計算のための仮の例です

本記事は作品の紹介と、そこから読み取れる一般的な考え方の解説です。投資判断や特定の取引を勧誘するものではありません。計算例は仕組みを説明するための単純化であり、実際の証拠金・ロスカットの判定は各社の規定によります。記載は執筆時点の情報に基づきます。

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